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横浜赤レンガで故金森一咳さん回顧展

カルチャー 神奈川新聞  2014年10月14日 03:00

一咳さんの作品の前で「こういう生き方をした人がいた、と多くの人に知ってほしい」と話す金森克雄さん=横浜市磯子区
一咳さんの作品の前で「こういう生き方をした人がいた、と多くの人に知ってほしい」と話す金森克雄さん=横浜市磯子区

作家やジャーナリストらが通い詰め、2001年に閉店した東京・神楽坂の酒場「憂陀(ゆだ)」。同店を切り盛りし、著名なモーツァルティアン(モーツァルトファン)でもあった故・金森一咳(いちがい)さんの墨彩画を紹介する回顧展「虚空礼拝~禅・俳句・モーツアルト~」が15日から、横浜市中区の横浜赤レンガ倉庫1号館で始まる。おおらかでユーモラスな作品約100点を展示し、何ものにもとらわれなかったその人生をたどる。

金森さんは1941年、大阪で生まれた。本名は比呂尾。哲学者のカミュ、サルトルの著作を題材にニヒリズムについて考える早熟な少年だったが、20代半ばに友人の自死を契機に「自身の存在の根拠の崩壊を体験」。神経を病む中で、命をつなぐために69年、「憂陀」を友人と始めた。

店は連日、編集者や作家、学生、ベ平連関係者、右翼関係者などでにぎわい大島渚さん、野坂昭如さん、赤塚不二夫さんらも常連に名を連ねた。また金森さんは、熱心なモーツァルティアンとして雑誌の取材を受けるなど、全国でも知られた存在だった。

40歳を過ぎたころに突然、絵筆を取り、昨年11月に急逝するまで描き続けた。共感していた「禅」の思想を表現する禅画のほかモーツァルトのオペラを題材にした作品、自身の俳句と合わせた俳画などを、墨と筆で生み出した。生命力あふれる線で思うままに描かれた作品は、独特のコミカルさをたたえる。

金森さんの弟、克雄さん(60)は「何ものにもとらわれないことにこだわった兄だった。みんなをいつも笑わせたり相談を受けたりして、かっこよかった」と振り返る。克雄さんは、横浜を拠点に課題を抱えた若者の支援活動を展開するK2インターナショナルグループ代表。今回、兄の存在を多くの人に知ってほしいと回顧展を企画した。「巧拙ではなく絵に込められた思想を見て、こういう人がいたと知ってほしい」

19日まで。入場無料。問い合わせはK2ドリームプロジェクト電話045(752)5066。

【神奈川新聞】


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