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水注ぐと発電 横浜の古河電池が使い切り非常用電池を開発

経済 神奈川新聞  2014年10月07日 03:00

水を入れるだけで発電できる非常用電池を手にする古河電池の徳山社長=横浜市保土ケ谷区
水を入れるだけで発電できる非常用電池を手にする古河電池の徳山社長=横浜市保土ケ谷区

古河電池(横浜市保土ケ谷区)は、凸版印刷(東京都千代田区)と共同で、水を注ぐと発電する使い切りタイプの非常用電池を開発した。発電時に騒音や二酸化炭素を出さないなど環境にも配慮。使用後の廃棄にも考慮して紙製容器を採用した。最大で300ワット時の電力を供給でき、スマートフォンだと最大30回の充電が可能という。開発のきっかけは2011年の東日本大震災だった。

古河電池は福島県いわき市に事業所を置き、震災時は床が陥没したり天井が崩落したりするなど、大きな被害を受けた。中でも問題となったのが、情報の遮断。家族の安否を確認しようと携帯電話で連絡を試みたが、回線の混雑でつながらず電池切れになった社員も多かったという。

いわき市に自宅を構える徳山勝敏社長(65)は震災発生時は横浜にいたが、現地にいる家族と丸1日以上、連絡が取れなかったという。「災害時には電話で声を聞けるだけでも安心する。被災した企業だからこそ、できることがある」との思いから、災害時にも簡単に使用できる電池の開発に着手した。

基本的には、マグネシウムと食塩水、酸素を反応させて電気を取り出す仕組みを採用。同社の技術により、海水だけでなく、水道水、井戸水、雨水、川の水はもちろん、ジュースなどでも発電できる。携帯電話の充電を想定し、USBタイプの出力端子二つを装備している。

2リットルの注水が必要で、発電を一時中断できるスイッチを搭載しているのも特徴。12年には大容量の試作品を搭載した電気自動車の走行実験を実施。いわき市から仙台市までの約110キロを完走した。

「マグボックス」と名付けられたこの電池の電力は、単1のアルカリマンガン電池の32個分に相当。縦約23センチ、横約22センチ、高さ約22センチとコンパクトで、注水前は約1・6キロと軽く、避難所などに備蓄するのに適したつくりになっている。水を加えなければ10年ほどの長期保存が可能。

価格は1個1万円前後を想定し、12月から地方自治体など向けに販売する。すでに多くの自治体などから問い合わせがあるという。

「特に、神奈川は海が近く、前回と同じような大きな地震が起こったら大変なことが起こるだろう。集会所などに置き、災害時に備えていただければ」と徳山社長は話している。

【神奈川新聞】


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