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【社説】女性の管理職登用 機運捉え確かな流れに

経済 神奈川新聞  2014年10月06日 10:29

政府は開会中の臨時国会で、国や自治体、企業に女性の積極登用を促す新法を提出する。安倍晋三首相は所信表明演説で「上場企業に女性役員数の情報公開を義務づける」と明言するなど強い決意を示した。

一方、厚労相の諮問機関は9月末、企業に対する女性管理職の比率といった数値目標設定の義務づけは、経営者の慎重な声に配慮し見送るよう促す報告書をまとめた。

「2020年までに指導的地位に占める女性の割合を30%にする」という方針を掲げる政府は、女性登用に強制力を持たせることを重視。一度は見送った企業への数値目標の義務づけを目指す方針にあらためてかじを切った。

数値目標の設定は難しい問題である。ひとたび目標を設定すると、数字を合わせようとして、十分な準備ができていない女性に「無理な背伸び」を強いることになりかねない。成果を上げられない結果に終われば企業にとって痛手となる。何より、地道にキャリアを積んできた女性自身にとって不幸である。業種によっては女性が少なく、管理職候補が育っていない事情もある。

他方で、女性登用ができない理由を列挙して足踏みをしていては、いつまでも男性優位は変わらないともいえる。数値目標の「外圧」があってこそ、経営者の意識や社員の働き方、社内風土を変えられる。待遇面で差を強いられてきた女性に枠を設け、意識的に重要ポストに就けてこそ新たな道が開けるはずだ。

慎重論、推進論いずれにも理がある。数値目標が「もろ刃の剣」と言われるゆえんだろう。

だが、どちらの立場であっても、女性が活躍できる社会にしていく重要性について異論はないはずだ。言うまでもなく、人口減社会で労働力そのものが不足する中で、女性の力は経済成長の源となる。労働市場で男女平等が実現すれば、国内総生産(GDP)が大きく伸びるという分析は数多くある。

だからこそ個々の企業には、長時間労働や賃金格差など、女性が働く上で直面する壁を一つ一つ取り払う努力が求められる。成功事例を積み上げ、モデルとなる人材を丁寧に育てていくべきだろう。

政府も旗振り役として、現在の機運を継続させ、女性管理職は当たり前と感じられる社会となるよう実効性のある政策で後押ししてほしい。

【神奈川新聞】


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