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宇徳ビル4階の人々 クリエーター集い新たな価値創造

横浜みなと新聞 神奈川新聞  2016年12月05日 19:37

「アートZOO」と題した企画で道路にチョークで絵を描く人たち=11月6日、横浜市中区
「アートZOO」と題した企画で道路にチョークで絵を描く人たち=11月6日、横浜市中区

 関内駅周辺は市役所や横浜スタジアムの所在地として知られる一方、クリエーターやアーティストの集う街としての顔も併せ持つ。

 中でも特徴的なのが宇徳ビル(横浜市中区弁天通)だ。オフィスビルの4階部分には現在、建築、都市デザイン、写真など、各分野で活躍する計15組が入居。スタジオやアトリエを構える。複数人でシェアして使用している部屋もある。

 11月5、6の両日。今年で8回目を迎え、関内周辺で開催されたイベント「関内外OPEN!」には「宇徳ビルヨンカイ」もチームとして参加。5日は各事務所を公開するとともに、紙パックや段ボールで動物を作る体験型ワークショップを実施した。

 「動物に名前を付けてあげようよ」「うーん、何にしようかなぁ…」。親子連れなどが次々に訪れ、アーティストたちと一緒に制作に励んだ。


事務所公開と同時に、ワークショップが開かれた宇徳ビルヨンカイ=同5日、同市中区
事務所公開と同時に、ワークショップが開かれた宇徳ビルヨンカイ=同5日、同市中区

 翌6日。一部封鎖された関内桜通りには段ボール製のゾウやネコ、ペンギンなどさまざまな動物がお目見えした。前日のワークショップ参加者が手掛けた作品も並んでいる。

 題して、「アートZOO」。動物園に見立て、訪れた人がチョークで道路に絵を描けるようにした。非日常を演出するというイベントの趣旨を踏まえ、ヨンカイが企画した。中には、はだしの子どもや大人の姿も。晴天の下、思い思いにアートを楽しんだ。

 ヨンカイとして初めて、街へ出ての開催となった今回。参加者数は把握するだけで140人を超え、まとめ役を務めた建築家井上玄さん(37)は、大きな手応えをつかんだ。「多くの人に、宇徳ビルを知ってもらうきっかけになったと思う」

 同ビルがクリエーターらの拠点となったのは2010年。ビルを所有する宇徳は、当時あった市の「芸術不動産リノベーション助成」(市芸術文化振興財団の運用)を活用した。契約更新やメンバーの入れ替わりを経て、今に至る。

 強力なリーダーシップを発揮する人がいるわけではない。「自治」が基本。定期的に顔を合わせて会議を開いたり、街の清掃活動に取り組んだりするほか、ビル1階エントランスを借りて作品展示も行っている。「いろいろな(分野の)人との交流が持て、刺激を受けることも多い」とアーティストの岩間正明さん(69)。写真家の中川達彦さん(55)も、この独特な空間を気に入っている一人だ。

 同じフロアで日常的な関わりを続ける中で、新たなコラボが誕生、仕事が生まれることもあるという。

 アートZOOは、絵画やインスタレーション制作の鈴木貴美子さんの作品が発端。他の入居者が、アートと子どもをつなげるとの観点から、ワークショップの題材にしたら面白いと提案した。当日までの準備や関係機関との調整、片付けなどを分担。各自が力を出し合い、成功させた。「ヨンカイの潜在的な力を感じた」と街の景観づくりに携わる浅沼秀治さん(51)。

 設計事務所に勤める大沢雄城さん(27)は力を込める。「創造都市を掲げる横浜で、文化芸術拠点として老舗的存在の宇徳ビルから外に向けて発信できたことは、画期的出来事だったと思う」

 建築都市設計事務所を構える前田篤伸さん(49)は、これで終わりではなく、むしろスタートだと考えている。「今後のテーマは、クリエーターたちが街の人たちとどう関わっていくか。また何か面白いことができれば」


宇徳ビル4階を拠点とする(前列左から)鈴木さん、中川さん(後列左から)岩間さん、浅沼さん、井上さん、前田さん、大沢さん=横浜市中区弁天通
宇徳ビル4階を拠点とする(前列左から)鈴木さん、中川さん(後列左から)岩間さん、浅沼さん、井上さん、前田さん、大沢さん=横浜市中区弁天通

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