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危険ドラッグやめさせて 川崎の更生施設で近親者の相談急増

社会 神奈川新聞  2014年10月06日 03:00

危険ドラッグ乱用者による暴走運転や芸能人の覚せい剤事件が社会問題化する中、身内の薬物依存を断ち切りたいと願う近親者らの問い合わせが、行政機関や民間のリハビリ施設に相次いでいる。「脱法」から「危険」に呼称が変更されたことに加え、暴走事件が「第2、第3の惨事を引き起こすのでは」と家族に極度の不安をあおり、相談件数の急増につながっている形だ。

「施設に入って治療に専念した方がいい」-。説得を続ける親戚に対し、かたくなに入所を拒む危険(脱法)ハーブ使用者の男性。板挟みとなった父親は、ただ黙ったままだった。

今年、薬物依存症者のリハビリ施設「川崎ダルク」(川崎市中原区)で繰り広げられた入所相談の一コマだ。

「相談の8割は家族や知人、会社の上司らの問い合わせがきっかけ。薬物事件がクローズアップされたことで、家族が動揺して行動に移すケースも多い」と岡崎重人施設長は話す。

身内の薬物依存者をひた隠しにしたり、使用の傾向を察知しながらも追及できなかったり…。そんな家族たちが救いを求め、受話器を握る。混乱を象徴するように、使用歴が浅くリハビリの必要がないケースでも問い合わせがあるという。

きっかけの一つが6月下旬、東京・池袋の繁華街で危険ハーブを吸引した男が乗用車で暴走し、8人が死傷した事故だ。車内で意識もうろうとする男の映像がテレビに流れ、過剰な不安をかき立てた。岡崎施設長は「1人の依存症者の陰で4、5人が悩んでいるといわれるのが薬物問題」と、その恐ろしさを指摘する。

「ASKA事件の後、相談が急増した印象」と話すのは、同市精神保健福祉センターの担当者。本年度、8月末までに覚せい剤や麻薬、危険ドラッグなどに関する電話相談は39件あったが、人気歌手が覚せい剤取締法違反などで逮捕された5月中旬以降に集中。このうち、本人からの問い合わせは4件のみという。

7月下旬には警察庁が「脱法ドラッグ」から「危険ドラッグ」に呼称を変更したこともあり、半年足らずで昨年度の相談件数(49件)に迫る勢いだ。同担当者は「身内の不祥事を認めたくないという心理からズルズルと先送りしてきたものの、今回の事件が家族にとって契機になった」と分析する。市内では区役所にも担当が置かれ、同センターは2次窓口の位置付け。公表された相談件数は氷山の一角でもある。

同センターでは、電話相談に加えて家族を対象としたセミナーなどで支援する。担当者は「電話は回復に向けた第一歩。何とかしたい、という家族の思いを支えたい」と話している。問い合わせは同センター電話044(201)3242。

【神奈川新聞】


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