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【照明灯】噴火の前兆

社会 神奈川新聞  2014年09月29日 10:45

のどかな曲調の民謡「木曽節」に歌われ、信仰の対象でもある御嶽山(おんたけさん)が突如、牙をむいた。捜索・救助活動が進む中、山頂付近で登山者が次々と心肺停止の状態で発見される大惨事となった▼9月中旬から火山性地震が繰り返し観測されていたが、気象庁は噴火の前兆という判断に踏み切れなかった。警戒レベルを1(平常)から3(入山規制)に引き上げたのは、噴火が始まってから約40分後だった▼2000年に起きた有珠山噴火の被災地を見学した経験を思い出した。事前に緊急火山情報が出され、住民が避難した結果、1人の犠牲者もなかった。ただし、有珠山は噴火予知がしやすく、周期が短くかつ一定であるために過去の噴火を知る住民が多いなど条件に恵まれていた▼気象庁は御嶽山についてはデータが乏しく、予知の技術的限界を認めているが、体制的な問題を指摘する専門家もいる。同庁には火山噴火などの専門教育を受けた職員が少なく、警戒情報を適切に出せる人材が十分いるとは言い難いという▼ほとんどの人が間近で見たことがないのが噴火現象だ。知識不足により、いざという場合にパニックに陥りかねない。大学など研究機関が情報を還元し、火山に関する社会教育にも力を入れるべきではないか。

【神奈川新聞】


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