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【照明灯】ベンチャー

社会 神奈川新聞  2014年09月25日 10:30

冒険を意味する英単語「ベンチャー」は転じて収益は未確定だが将来性のある事業を意味するようになった。起業家精神を開拓者精神になぞらえるゆえんだ▼敗者復活の機会が絶対的に少ない-研究成果の実用化段階で日本が欧米の後塵を拝する要因をある研究機関の代表はこう分析していた。ノーベル医学・生理学賞の受賞に当たり「失敗ばかりの研究生活だった」とのコメントを寄せた山中伸弥京都大学教授の成功は、日本ではまだまれなケースなのだろう▼ソニーが業績悪化で1958年の株式上場以来続けてきた年間配当を初めて無配とすることを決めた。戦後、町工場から出発した同社は今でいうベンチャー企業に他ならない。1960年に開設された厚木工場は事業の要であるトランジスタの開発、製造を担い「世界のソニー」を引っ張った▼不振の原因は再起をかけたスマートフォン事業で中国勢などとの競争激化というが、大企業化の過程で開拓者精神が希薄になったとの指摘もある▼近年、国や自治体はベンチャー支援に手厚いが「平成のソニー、ホンダ」はなかなか出てこない。失敗を受け入れない風土や安定志向に加えハングリー精神の欠如。それが戦後日本や現在の新興国との決定的な違いなのかもしれない。

【神奈川新聞】


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