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57年ぶりの住民みこし 横須賀市の熊野神社

神奈川新聞  2014年09月18日 03:00

磨き終えたみこしを担ぐ地域住民ら=横須賀市長井の熊野神社
磨き終えたみこしを担ぐ地域住民ら=横須賀市長井の熊野神社

横須賀市長井にある熊野神社のみこしが28日、57年ぶりに神社の外に出され、地域住民有志に担がれる。漁師町を見守ってきた神社だけに、漁師ら住民の思いもひとしおだ。同日開かれる長井祭りの会場「長井海の手公園ソレイユの丘」(同市長井)で、再び威勢良く練り歩く。

14日午前、相模湾を見下ろす同神社。境内にブルーシートを敷き、地域住民ら約20人が分解したみこしの細工一つ一つを丁寧に磨いていた。「みんな担いだ経験がないみこし。少しでもきれいにしたい」と汗を光らせるのは、長井祭り実行委員長の荘子敏光さん(56)。57年ぶりの“本番”を前に、気合は十分だ。

みこしは1957年の同神社の「大祭(おおまつり)」で担がれたのが最後。社務所には白い装束を着た男たちが担ぐ古い写真が飾られている。同神社宮司の豊浦崇男さん(49)によると、大祭はみこしが1週間かけて長井の町中を練り歩く壮大な祭りだったが、まとめるのが大変となり57年を最後に大祭自体が開かれなくなった。みこしも神社で保管されたままとなっていた。

57年間の“眠り”を覚ましたのは、実行委の熱意だった。荘子さんは「みこしは町の立派な文化財。神様の乗り物なので、町を練り歩くことで神様に守られていることも感じられる。ぜひ出させてもらいたいと思っていた」と話す。同神社氏子総代会に申し込み、7月に正式に了承された。

みこしが担がれることについて、氏子総代会会長で現役漁師の原田洋治さん(76)は「ありがたい」と話す。漁は「板子一枚下は地獄」とされ、命の危険も伴う仕事だ。「漁師ってのは神頼みしたものだ。神を敬う心は人一倍持っている」

同じく現役漁師で副会長の秋本勝義さん(73)も「漁師は出港する時に神社の前を通って頭を下げる。お世話になっている」と話す。

「せーの!」。14日、約2時間半かけてピカピカにしたみこしを組み立て、地域住民らが試しに担ぎ上げた。境内を練り歩く様を見守った総代会の2人の漁師の顔もほころぶ。当日、みこしを担ぐ漁師荘子匠さん(27)は「57年ぶりに担ぐみこしなので、楽しみにしている。心を込めて、頑張りたい」と笑顔を見せた。

【神奈川新聞】


みこしを分解し、細工を丁寧に磨く地域住民ら
みこしを分解し、細工を丁寧に磨く地域住民ら

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