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【社説】自衛隊不祥事 身内捜査が続出の温床

社会 神奈川新聞  2014年09月12日 11:00

自浄能力を期待することは無理なのだろうか。悪質な事件が後を絶たない海上自衛隊。危機意識の欠如は著しく、説明責任を果たす意志も感じられない。構造的な要因が背景にあるとしか思えない。

海自では今夏だけでも危険ドラッグ使用や強姦(ごうかん)など、深刻な不祥事が相次いだ。9月の声を聞くと、上司からのいじめやパワハラを苦にした隊員の自殺が発覚した。

命を絶ったのは横須賀基地に配備されている護衛艦の乗組員。同基地では10年前にも護衛艦の乗組員が先輩のいじめを受けて自殺した前例があり、十字架を背負っているはずだった。だが、横須賀地方総監部で行われた会見には総監が姿を見せず、コメントが読み上げられただけだった。隊員の強姦事件を受けた教育隊司令の談話に被害者への謝罪がなかった先月の対応を想起させる振る舞いだった。

深刻な不祥事が続き、現場の責任者が危機感の見えない対応を取り続ける原因は何なのか。自衛官の身分に加え、警察権を持つ警務隊が自衛隊内の犯罪を捜査する制度が温床になっているのではなかろうか。

2000年前後に発生、発覚した神奈川県警の一連の不祥事の内実を知る元県警幹部は「外部の目を入れないと同じことの繰り返しになる」と指摘。海上での警察権を持つ海上保安庁の関係者からも「刑法犯の捜査まで身内が行うのは普通に考えてもおかしい」との声が上がる。

身内の犯罪を身内が捜査するのは警察も同じだ。が、県警では不祥事への厳しい視線を受け、警官の犯罪を隠蔽(いんぺい)した上司を犯人隠避容疑で相次ぎ立件した。01年には時効が成立している事件でも送検した。背景には再生への強い決意があった。

対して、海自の不祥事対応からは覚悟も決意も見いだせない。防衛大学校の学生18人が計490万円を詐取した保険金詐欺事件への対応も疑問だ。知能犯捜査を長く担当した元警察幹部は「文書を偽造した組織的な詐欺で被害も多額。通常ならば逮捕されてもおかしくない」と指弾する。警察が捜査し、逮捕すれば容疑者名が公表されるため抑止力にもなる。だが同事件を捜査したのも警務隊で、逮捕はせず書類で送検した。容疑者名も公表していない。

身内捜査の限界だ。自衛隊員の犯罪はあまねく第三者が客観捜査をするよう制度を抜本改正すべきだ。

【神奈川新聞】


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