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【社説】私有地の崖地対策 限界を踏まえ改善急げ

社会 神奈川新聞  2014年09月08日 10:15

6月の大雨の影響で起きた横須賀市ハイランドの崖崩れの復旧工事に、市は今月末にも乗り出す。所有者の寄付の申し入れを受け、道路区域に編入することで「公共土木施設」となり、国が費用を補助する道路災害復旧事業として扱われる。

私有地の崖地は本来、所有者に管理する責務があるため、こうした寄付を受け入れて公有地にした上で対策を施すのは異例という。

今回の崖地は、昨年10月の台風26号の接近時にも崩落していた。市は、土地所有者2人に安全対策を講じるよう求める一方、ブルーシートで覆い防護柵を設置する応急処置を施していた。

8カ月後、今度はより大規模な土砂崩れが起きた。近隣住民からは「またいつか崩れるのでは、と不安だった」との声が漏れた。幸い死傷者こそ出なかったものの、不安は的中した。現在、崖下の市道の中央には高さ約4メートルの鉄製防護壁が設けられ、一方通行が続いている。

対策が後手に回った要因として挙げられるのが私有地だった点だ。危険な崖地が私有地の場合、所有者らの要望があり、高さ5メートル以上、傾斜角30度以上、人家5戸以上など急傾斜地法に基づく指定基準や、自然崖であるなどの工事基準を満たせば、公費で工事が行われる。しかし、今回は大部分が人工崖で要件を満たしていなかった。

市は個別の助成制度を設けているが上限は535万円で、規模や工法によって多額の自己負担が必要となる。市職員はこうした事情を知りつつ「所有者に工事をやりなさいと促すほかない」と話しており、制度の限界を露呈している。

今夏は全国各地で土砂災害が相次ぎ、災害大国とも呼ばれるわが国の現実を思い知らされた。国土交通省の2002年度の調査によると、県内で崖崩れの恐れがある「急傾斜地崩壊危険箇所」は7163カ所に上る。うち丘陵地や傾斜地の多い横須賀市には今回も含め1027カ所。多くは依然、十分な対策ができていないのが実態である。

横須賀市の対応はあくまで災害後の「復旧」であり、「防災」を進める制度には限界がある現状をあらためて浮き彫りにした。

全国に共通する課題であり、国や県、基礎自治体は危険な私有崖地の防災工事を促進する対策も急いでもらいたい。

【神奈川新聞】


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