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【社説】全国学力テスト 成績公表の議論幅広く

社会 神奈川新聞  2014年09月05日 08:51

ことし4月に実施した2014年度の全国学力テストの結果が公表された。小学6年と中学3年の全員が対象となり、県内では1275校の約14万人が参加した。

科目は小学生が国語と算数、中学生が国語と数学。それぞれ基礎知識を問うA問題と応用力をみるB問題がある。県内の平均正答率はA問題でいずれも全国平均を下回り、B問題で小6の国語以外は全国平均を上回った。

復活から7年目となる全国学力テストは毎回順位が話題になる。秋田県や福井県など成績上位の顔ぶれは変わらないが、今回は下位の沖縄県のアップが目立った。本県は全体的には中位になる。数ポイントの差で一喜一憂する必要はない。順位よりも正答状況を分析して学習や指導の改善に生かすことが目的である。

同時に行われた生活習慣の調査では、携帯電話やテレビゲームをする時間が長くなるほど平均正答率が低くなる傾向も分かった。買い与える親の責任や対応が問われている。

今回から自治体の教育委員会の判断で学校ごとの成績が公表できるようになった。しかし、今のところ平均正答率の公表を決めた教委は全国的にも少ないようだ。

県内では唯一、海老名市の伊藤文康教育長が公表したい考えを表明したが、校長会との協議で先送りする見通しになった。現場からは「成績の低い学校の児童生徒がやる気をなくす」など、学校の序列化を心配する声が多く上がったという。

同市教委は、代わりに数値を文章化した統一書式での11月の公表を検討している。同市の内野優市長は成績公表に前向きで、行政情報の原則公開を前提に「教師の意識改革」の効果を期待している。

学校別の成績公表については専門家の間にも賛否両論がある。正答率は保護者にとって分かりやすい指標であることは間違いない。過度な競争意識が生まれる事態は望まないが、保護者が関心を持ち、地域が協力する材料になることもあるのではないか。説明のやり方にはもっと幅広い議論が必要だ。

課題が山積する教育現場にあって、学力向上は最優先で取り組まなければならない。教師が多忙に陥って授業の準備時間が十分に取れないとの声も聞かれる。学びの場である本来の姿を取り戻すために改善への努力を続けていきたい。

【神奈川新聞】


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