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久里浜から全国へ オーダーメードでゴルフクラブのシャフト生産

経済 神奈川新聞  2014年09月05日 03:00

ものづくりを支えている腕利きの職人たち=横須賀市内川の「三貴」
ものづくりを支えている腕利きの職人たち=横須賀市内川の「三貴」

横須賀の町工場で始めたゴルフクラブシャフトの生産が軌道に乗り始めている。製造業を取り巻く厳しい環境下で生み出した商品が評価され、次なる狙いは全国展開。ものづくりにこだわる職人たちと連携し、地域の活性化も思い描いている。

激しい金属音が絶えない工場は久里浜の工業団地の一角にある。三貴(横須賀市内川)は30年以上、鉄道車両部品や配管、アルミ特殊製作までを請け負う。

創業者の新井晴雄社長(66)と博善さん(42)、宗徳さん(34)の兄弟を中心に営む。従業員は6人。平均年齢50代後半で最高齢は73歳で、溶接や特殊加工技術を持つ腕利きの職人たちが支える。

3年前、ゴルフの指導資格を持つ晴雄さんの判断で、自社ブランド「サンキプラナリアシャフト」と名付けたドライバーのシャフトの生産を始めた。生産から営業、販売を主に任されているのが宗徳さんだ。

ゴルフ業界を驚かす最大の売りはオーダーメード。顧客の体格や年齢、スイング内容などに合わせシャフトの重さを選び、基本27色の中から好きな色を組み合わせられる。さらに、光に当てると複雑な色合いを帯びたり、大理石調の塗料が施されたり、と多彩だ。全て手作り。一つとして同じ商品はない。

カーボン製で独自のしなりを加え、飛距離と方向性も追求。機能美と造形美を備えた商品は高い物だと30万円ほどする。受注から納期までは1~3カ月かかる。量より質。他社製品との「差別化」を図るためだ。宗徳さんは「概念を覆すこと。これは町工場の挑戦」と力を込める。

それでも、当初は販売店から「こんな高い物は売れない」「もっと早く作れないのか」といった声もあった。1年に10本ほどしか売れなかったが、理念を伝え続けると、少しずつ評価を得て、今では月10本に迫ることもある。

全国展開を視野に、8月から製品パンフレットを作り、全国の販売店に配った。早速、1件の契約の連絡が入り、7件の問い合わせがあった。取引先は量販店でなく、組み立てと販売を兼ねるゴルフ工房を求める。腕利きの職人(クラフトマン)が組み立てることで安心して商品を届けられる。「工房も要は町工場。小さいけど、お互いに一生懸命やりたい」

後継者不足にも直面する横須賀からものづくりがなくなり始めている。先輩技術者に、職人としての姿を学んできた宗徳さんは「(従業員)みんなの支えがあったから、シャフト事業にも専念できる。ものづくりの世界も守っていきたいし、恩返ししたい」と話す。

町工場の強みである丁寧な受注生産にこだわり、妥協しない。見据えるのは世界進出だ。

【神奈川新聞】


オーダーメードのゴルフクラブシャフトを手に「1本として同じ商品はない」と語る新井宗徳さん=横須賀市内川
オーダーメードのゴルフクラブシャフトを手に「1本として同じ商品はない」と語る新井宗徳さん=横須賀市内川

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