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検証林市政 2期目1年を越え (上)企業誘致 そびえる「品川の壁」

政治行政 神奈川新聞  2014年09月04日 11:57

企業立地促進条例の対象地域の一つであるMM21地区
企業立地促進条例の対象地域の一つであるMM21地区

「言葉通りの『飛び込み訪問』が奏功した例」。経済局の渡辺敏裕誘致推進課長は、富士通グループ企業「PFU」の名を挙げた。

主力商品のイメージスキャナが世界でトップシェアを誇る同社は4月、横浜市の企業立地促進条例の事業計画認定を受けた。東京本社(川崎市)と東京開発センター(東京都町田市)を集約し、みなとみらい21(MM21)地区へ移転する。決め手となったのは同地区の優れた防災対策だった。

「こちらから出向いていくことが大事」。林文子市長のモットーを実践し、飛び込みで誘致を成功させたのは、人員や体制充実を図ってきた東京事務所の誘致担当職員だ。

「私自身も営業本部長のような役割を果たしている」と林市長が語る東京事務所。本年度の機構改革で「東京プロモーション本部」に名称を変え、新たに担当課長を配置するなど、さらに強化した。

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経営者時代の人脈を生かし、自ら国内外の誘致セミナーを重ねる。郵船クルーズ、レノボ・ジャパン、京セラエルコ。林市長はこれまでにトップセールスで市内に本社や研究所を誘致してきた。韓国、中国の企業の日本法人の誘致も成功させている。

「東京圏で、互いに強みを引き出し合えればいい」。2期目就任から1年が過ぎた8月28日、新たな中期計画(2014~17年度)発表の席で市長は東京一極集中について問われ、そう答えた。そして、間を置かず続けた。

「でも、本社が東京に集中していることは間違いない。370万人都市に比例するような法人税が入ってくる実情ではない」

東京と横浜。都市間競争で彼我の力の差に危機感をにじませた。

市企業立地促進条例の活用の有無にかかわらず、過去5年間で企業が新規で横浜に立地した件数は、東日本大震災のあった11年度の35件を除いても、年間50件台で推移している。

新中期計画で、その目標値は65件に引き上げられた。全国的な都市ブランドを持ちながらも、一方で埋没への危機感は強い。

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昨年秋、市は20年の東京五輪前の完成を目指す新市庁舎について、高層階に整備予定だった民間へ貸し出すオフィス床を断念した。不動産業者などへの聞き取りで需要は少ないと判断したからだ。

五輪に向け、再開発の進む東京では新たなオフィスビルも次々と建つ。中でも都心最後の大規模案件と言われるのが品川駅周辺の再開発だ。

羽田空港との距離、リニア新幹線の始発駅といった優位性。市関係者は、都内から横浜へ企業を誘致する際の難しさを「品川の壁」と表現する。

「ハードルは高いが、地道に横浜の魅力を伝えていきたい」(誘致推進課)。都心と比べた賃料の安さを売りに、東京へのこだわりが薄い外資系の日本法人もターゲットに据える。

市企業立地促進条例は04年の施行から10年間で計93件(7月時点)の誘致実績がある。現行条例は15年3月で終了が予定され、新たな制度がつくられる。

「東京なら間違いないという印象にとらわれず、コンパクトシティーとしての横浜の魅力を伝えていくしかない」。28日の会見で、林市長は力を込めた。

昨年8月に再選し、2期目の1年が過ぎた林市長。これまでの施策や、市の新たな羅針盤となる中期計画を踏まえ、林市政を検証する。

【神奈川新聞】


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