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「DNA登録」普及へ 災害で身元確認を 神奈川歯科大が活動

社会 神奈川新聞  2014年09月02日 03:00

口腔粘膜の採取器具と保存容器
口腔粘膜の採取器具と保存容器

大規模災害に備え、遺体の身元確認に有効とされる遺伝子情報を利用した「DNA登録」を普及させる取り組みを神奈川歯科大(横須賀市稲岡町)の研究グループが進めている。8月31日には厚木歯科医師会が協力し、厚木市の防災訓練で登録活動を展開。全国的に初めての試みで、歯型とともに個人を特定する新手法として課題克服を目指している。

災害時などに死亡した身元不明者の調査は容姿の判別が難しく、所持品がない場合は歯の治療痕と関係記録との照合による確認が一般的。しかし、東日本大震災では広範な津波被害を受けてこうした資料も流失したため、現場の作業は困難を極めたという。

また、医療機関のカルテやエックス線写真といった治療記録の保存義務期間は5年とされていることから、大規模災害時の新たな遺体照合システムの整備が課題となっていた。

神奈川歯科大が進めている研究は、DNA鑑定による個人特定精度が高いことに注目。事前に口腔(こうくう)粘膜細胞を採取・分析してデータベースを構築し、迅速で確実な身元確認法を目指している。同大災害医療歯科学講座の大平寛講師のグループが2012年度、研究に着手。文部科学省の補助事業として県内でこれまでに約1800人を登録している。

8月31日、「防災の日」に合わせて厚木市が実施した防災訓練の会場(厚木中央公園)では、200人を対象に登録作業が行われた。同意書に氏名や住所、生年月日を記入し、綿棒のような器具で頬の内側を左右各10回なでてDNAを採取。10秒ほどで完了し、登録証が交付された。

初めてこの事業に協力した歯科医師会の馬場賢輔会長は「東日本大震災では身元確認の応援に厚木からも歯科医が被災地に行っている。厳しい現場の経験から新しい技術の必要性を感じている」と話している。

大平講師は「課題は技術面よりもコスト。国の補助は来年3月までで、その後は登録料として数万円掛かる。個人負担では割高で、普及には自治体などの公的支援を考えなくてはならないだろう」と説明している。

【神奈川新聞】


厚木市防災訓練でDAN登録を行う小林常良市長(左)=厚木市寿町の厚木中央公園
厚木市防災訓練でDAN登録を行う小林常良市長(左)=厚木市寿町の厚木中央公園

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