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【照明灯】自省なき空気

政治行政 神奈川新聞  2014年09月01日 08:46

9月の声を聞いて、二つの日付に思いをめぐらせたい▼91年前のきょう1日の関東大震災、その直後に朝鮮人虐殺は起きた。「朝鮮人が暴動を起こす」というデマに端を発した惨劇。日本の植民地支配により土地を奪われ、職を求めて海を渡った朝鮮人への差別と迫害が報復の恐怖を呼び、市井の人々を凶行に駆り立てた▼そして2002年9月17日、日朝首脳会談で北朝鮮の拉致が明らかになった。加害者としての負い目から一転、高揚した被害者意識。拉致は許されざる国家犯罪だが、ゆがんだ憎悪の発露はのち、街中で「朝鮮人を殺せ」と連呼するヘイトスピーチにもつながる▼拉致と過去の清算は相殺できるものではなく、それぞれを個別に問いたださなければならぬ。拉致被害者家族の一人、蓮池透さんはそう語る。それには、相手に突き付けることは自らにも問わねばならない、とも▼月内にも北朝鮮から拉致被害者再調査の最初の報告がなされる。いい加減な報告は許さない、との声を政治家らが強める。では、日本政府は朝鮮人虐殺の実態を調査したのだろうか。一方的、自省なき空気に、過去の清算とは、植民地支配を正当化するために醸成された差別意識から、われわれ自身が自由になることでもあると知る。

【神奈川新聞】


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