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【照明灯】予備校の名物講師

社会 神奈川新聞  2014年08月29日 08:45

ぼさぼさ頭の男性が大手予備校・代々木ゼミナールの教壇に姿を現した。「この人が小田実なのか」と感慨深かった。担当する英語の授業を聴いた記憶はこの一度きりなので、名物講師のうわさを耳にし、教室に潜り込んだのだろう▼留学生時代に貧乏旅行の中で英語力を磨き、欧米やアジアで触れた現実をつづった体験記「何でも見てやろう」がベストセラーになった。そうした作家らしく受験英語とはやや距離を置いた内容だった印象がある。2007年没▼かつて小田さんのようなスター講師を抱え、多くの受験生を集めていた代ゼミが、約7割の校舎閉鎖や全国模擬試験の廃止を明らかにした。背景には少子化による受験人口の減少や現役志向の高まりによる浪人生の減少などがある▼文部科学省の資料では、1970年代半ばに2倍超だった大学の志願倍率は、この数年は1・1倍台に下がっている。1浪を「ひとなみ(人並み)」と読み替えた時代は遠く去りにけり…▼教育産業業界にとって、少子化に伴う市場縮小は共通の課題であるとともに、人口減少社会を先取りしているといえる。小田さんが「何でも-」に書いている言葉が暗示的だ。「予備校というのは、あれはいろんな意味で日本の一つの縮図だと思う」

【神奈川新聞】


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