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【社説】遅れる景気回復 実効策を打ち出せるか

経済 神奈川新聞  2014年08月16日 10:18

景気回復が当初の想定に比べて遅れている。消費税率の5%から8%への引き上げから4カ月。個人消費の減速、企業の生産低下、輸出の不振と経済指標は足踏みが目立ち、政府の企図するような回復基調は見いだせない。

消費税率10%への再増税に関し、判断材料の足がかりとして安倍政権が重視していた4~6月期国内総生産(GDP)速報値。13日の内閣府発表によると、年率換算で前期比6・8%減と、東日本大震災のあった2011年1~3月期の6・9%減と並ぶ落ち込み幅だった。

消費税が3%から5%に引き上げられた1997年に比べ、マイナス効果を緩和する政策の導入、雇用・所得環境の改善方向などを受けて、回復に向けて楽観視する向きが多かった。しかし、97年4~6月期の3・5%減よりかなり深刻だ。

現局面で最大のリスクは、物価の上昇傾向に賃金が追いつかないことだ。増税に加え、ガソリン代や原材料費の高騰で食料品が次々値上げされた。実質賃金の低下が続き、消費者の買い控えにつながっている。

政府は先の経済財政諮問会議で、14年度の実質GDP成長率を1・2%程度とし、昨年12月時点で見込んだ1・4%程度から下方修正した。一方で、民間シンクタンクの予測平均は0・85%となっており、政府の見通しは甘い。

帝国データバンクの調査では、トヨタグループと取引のある下請け企業は国内に2万9300社、従業員数135万人。本体は13年度、過去最高益を挙げたが、下請けの7割は業績回復に至っていない。政権が連呼するトリクルダウン(富裕層が富めば貧困層にも及ぶ)が、もくろみ通りに浸透していない一例だ。

15年度予算編成の議論に着手した諮問会議では、アベノミクスの成果を地方に波及させようと、特別枠を使って重点配分する方向性がにわかに示された。来春の統一地方選をにらんだものとみられるが、経済成長頼みの色が濃く、景気の現状を考慮すると、はなはだ心もとない。

駆け込み需要の反動減からの回復は、想定より明らかに鈍い。このまま個人消費が低迷し、輸出の不振が続けば、企業の設備投資なども下振れしかねない。景気回復、財政再建への道筋は不透明感が強く、政府が実効性のある政策を打ち出せるかに注目したい。

【神奈川新聞】


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