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廃業のストリップ劇場「黄金劇場」 シェアオフィスに

カルチャー 神奈川新聞  2014年08月12日 03:00

舞台の鏡などストリップ劇場の面影を残し、新しい空間として生まれ変わった「旧劇場」(加藤甫さん提供)
舞台の鏡などストリップ劇場の面影を残し、新しい空間として生まれ変わった「旧劇場」(加藤甫さん提供)

2013年夏に廃業した老舗ストリップ劇場「黄金劇場」(横浜市中区)が、シェアオフィス「旧劇場」として生まれ変わった。横浜を拠点に活動する若手クリエーターたちが入居し、ステージがあった1階を工房、楽屋や控室だった2階を事務所、アトリエとして利用する。猥雑だった場所から、どんな新しい文化が発信されるか-。

入居するのは、1級建築士や大工、写真家、ライター、画家、現代アート作家の9人。区内にあった活動拠点の転居先を探し、中古物件のリノベーションを手掛ける横浜ウミガワ不動産(同市南区)の石井律子さんに相談したところ、黄金劇場の話が舞い込んだ。石井さんが劇場所有者と交渉し、借り手側が改装工事を行うことを条件に入居が決まった。

契約当時、看板やステージはすでに取り壊されていたものの、ストリップ劇場であった証しが至る所に残されていた。1階は男性用のみのトイレ、2階の楽屋には化粧用鏡。「御客様に対しての暴言はやめて頂きます」といった出演者への注意事項が張り出されたままだった。

クリエーターの一人、建築家の永田賢一郎さん(30)は「初めて訪れた時、ビルのワンフロアを借りてシェアするより、面白いことができるだろうというわくわく感でいっぱいになった」。良くも悪くも、創造力を刺激される空間だった。

黄金劇場は40年を超えて、大岡川沿いに艶めく灯をともした。1958年から近くに住む女性(79)は、「スーツ姿の客も多く、開業当初はかなりのにぎわいだった。でも、近所とのトラブルは聞いたことがない」という。近年は経営者が2度ほど代わり、摘発を受けて多くの警察官が押し掛ける騒動もあった。決して誇れる場所ではなかったと話すこの女性は、「若い人たちの出入りも増え、近隣の雰囲気が良くなりそう」と歓迎する。

4カ月に及ぶ改装工事を終え、7月下旬に近隣住民や関係者を招いたお披露目会が開かれた。延べ床面積約75平方メートル。そのまま残された舞台の大鏡をはじめ、ところどころに往時の面影がある。

新たな活動拠点の“前歴”に戸惑いがあったと明かすライターの齊藤真菜さん(26)は、「ある種の歴史を背負っていながら、街のシンボル的存在でもあった。そうした建物から新しい歴史を生み出していきたい」と話していた。

「旧劇場」は10月に、一般の人が自由に見学できるイベントを予定している。詳細はホームページ(http://qgekijo.net/)

【神奈川新聞】


外階段が往時をしのばせる=横浜市中区
外階段が往時をしのばせる=横浜市中区

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