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山北キャンプ場事故から1週間 整わぬ注意喚起体制

社会 神奈川新聞  2014年08月09日 03:00

花束が手向けられた事故現場。川の流れは普段は穏やかだ=山北町中川
花束が手向けられた事故現場。川の流れは普段は穏やかだ=山北町中川

山北町中川のキャンプ場で母子3人が流されて死亡した事故から、8日で1週間が経過した。中州に整備されたキャンプサイトから早めに避難した際の事故に、関係者からはキャンプ場の安全管理の甘さを指摘する声が上がり、松田署は過失の有無について調べている。ただ、キャンプ場運営を規制する法律はなく、あらためて運営者の自主的な安全意識の徹底や、行政の注意喚起なども求められている。

母子ら一家4人がキャンプをしていた河内川の中州は、西側は山が切り立っており、避難するには東側の県道とつながっている川岸へ浅瀬(川幅約10メートル)を渡って行かなければならない。同署によると、事故が発生した1日は午後7時40分ごろに現場では大雨となり、一家は数分後に避難を決めた。車で川を渡っている間に急激に増水したとみられる。

日本オートキャンプ協会によると、中州などの危険箇所にキャンプサイトを設けるキャンプ場はほとんどないという。同協会業務課の堺広明課長は「増水する前に中州から避難したとしても、川を渡るのは危険が伴う。中州はキャンプをさせるような場所ではない」と指摘する。

一家4人は比較的早めに避難していた。キャンプ場の運営会社に過失はあったのか。中州でのキャンプ場開設と事故との因果関係や、安全管理体制が焦点で、松田署は「慎重に進めたい」と話す。

▽情報提供

1999年8月に、河内川の東側を流れる玄倉川で、中州にいた行楽客13人が大雨による川の増水で流されて死亡する事故が発生。2000年から毎年夏に、県酒匂川水系ダム管理事務所が中心となって同川でパトロールを行い、行楽客に注意を呼び掛けている。大雨によって上流のダムで放流をする際は流域に警報で知らせている。

一方で、県によると、ダムが建設されていない川では、注意喚起を実施する体制はほとんど整っていないという。川付近に親水施設を整備した南足柄市の狩川や松田町の中津川では大雨の警報、注意報の発令を知らせる電光掲示板を設置しているが、民間のキャンプ場を抱える河内川などでは未整備という。

県河川砂防一課は「週末にパトロールをして注意喚起することなどを考えている。他にも何かできることはないか検討したい」。近年は「ゲリラ豪雨」など、急激に気象が変化するケースが増えており、迅速な情報提供が求められている。

▽経営責任

現状では中州を含む河川でのキャンプ場経営を規制する法律はない。玄倉川の事故直後、県は条例制定を検討したが、河川法に定められている「河川の自由使用」という原則に沿い、「自由使用に伴う危険は使用者自らの責任で回避すべき」として、見送られた経緯がある。今回の事故で県は「過去の経緯や事例などを整理して、条例制定を検討するか決めたい」としている。

一般的には行楽客の自己責任が課せられる川岸でのキャンプ。それでも、「キャンプ場の運営者にも、安全管理の徹底を図る経営責任がある」と指摘する同協会の堺課長。「多くのキャンプ場では運営者がこまめに天候をチェックし、利用者の安全を確保している。少しでも危険性がある場所なら、一層高い意識が必要」と話していた。

【神奈川新聞】


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