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  3. 【社説】核時代の終息へ歩もう

広島はきょう6日、69回目の「原爆の日」を迎える。安倍政権が「戦後レジームからの脱却」を掲げ従来の平和主義から転換を図る中、ことしの慰霊の夏は平和国家を未来に継ぐために特別な意味を持とう。被爆の実態に視座を定め原爆、核の非人道性を確認し、核時代の終息、恒久平和実現へ歩みを進めたい。

広島市の松井一実市長が発表したことしの平和宣言(骨子)では「原爆は絶対悪」と指摘。その上で、原爆投下70年に当たる来年開催の核拡散防止条約(NPT)再検討会議へ向け、政府に核保有国と非核国の橋渡し役を果たすよう求めた。

日本が主導し12の非核国で構成する「軍縮・不拡散イニシアチブ」外相会合による今春の広島宣言では、「核なき世界」の実現へ決意を表明した。一定の前進ではあるが、即時廃絶か段階的な削減なのか具体的な道筋は示されず、「核の傘」に依存した日本の安全保障政策とのジレンマが浮かび上がった。

核兵器は人間、都市、自然を破壊し尽くす。被爆国として政府は「非人道性、絶対悪」の認識に立ち、核の抑止力に依存しない安全保障体制の構築を先導すべきである。深甚な被爆体験に照らせば人類共通の利益は何か、おのずと明らかになる。

戦争や核をめぐる内外の情勢は、被爆者をむしろ落胆させる方向に進んでいるのではないか。

憲法の平和主義を具現化した武器輸出三原則の撤廃、そして海外での戦争に自衛隊が参加可能となる集団的自衛権の行使容認。被爆国の国是「非核三原則」の形骸化が懸念され、「解釈改憲」の先には実際の改憲が見え隠れする。

原発再稼働への動きも含め、核に対する国民の不安感はかつてなく高まっている。原爆70年を前に、平和憲法の下、これまで戦争が起きなかった事実を重く受け止めたい。一方、ウクライナ問題に端を発した米ロ関係の悪化によって核削減協議は後退したとの見方が大勢だ。核保有国による核兵器規制の限界は明らかである。今こそ圧倒的多数の非核国が主導し、核非合法化の国際的な枠組みを形づくるべきである。

日本は広島、長崎の原爆、ビキニの水爆実験、東京電力福島第1原発事故と、重ねて核の被害を強いられてきた。被爆という視座を通し、平和国家、核廃絶を普遍的な国是としてより強固なものにしたい。

【神奈川新聞】


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