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【社説】訪問診療 現場実態踏まえ改善を

社会 神奈川新聞  2014年08月02日 10:22

高齢者施設など集合住宅での訪問診療の報酬が本年度から大幅に減額され、医療現場や施設入居者らに影響が出ている。高齢者施設団体の調査では、これまでに155事業所(回答1764事業所)で医療機関が撤退または交代した。

超高齢社会を見据え、国は在宅での医療・介護重視へ大きくかじを切ったばかりではなかったか。在宅医療に熱心に取り組んでいる地域の診療所にとって、足をすくわれた格好である。厚生労働省は早急に現場の実態、意見を把握し、在宅重視の政策との矛盾を解消すべく改善策を検討、実行すべきである。

月2回以上の定期的な訪問診療で、同一建物に居住する複数の患者を同じ日に診察した場合に診療報酬が従来の約4分の1に減額となる。高齢者施設に入居している患者は認知症や生活習慣病など複数の疾病を抱えているケースが多い。訪問日の分散化により、医師や看護師の負担が一層増えることになろう。

調査では具体的な影響として「診療時間が短くなった」との回答が多く見られた。診療の質の低下が懸念される状況である。一戸建てと集合住宅との間で在宅医療の中身に差が生じる結果を招いてしまわないか。報酬カットは結果的に患者利益に相反するといえよう。

都市部では団地やマンションの住民の高齢化が進んでいる。特に郊外を中心に高度経済成長期に入居が始まった大規模団地では今後、ますます在宅医療の需要が高まろう。

国が打ち出した主治医、かかりつけ医重視は、医師と患者の間に顔が見える関係があればこそ円滑に機能する。同じ医師や看護師が定期的に訪問診療を行うことで個々の患者の健康状態を継続して把握できる利点がある。減額の影響の中で最も多かった回答は「訪問日時が不規則で、施設管理者や看護師から医師への情報提供が難しくなった」だった。

報酬引き下げは有料老人ホームの入居者を紹介し、医療機関からあっせん料を取る紹介ビジネスの問題化を踏まえての判断といえよう。高齢者施設の入居をターゲットにした悪質な「荒稼ぎ」を排除すべきであることは言うまでもない。

ただし、多くの医療関係者が今回の政策誘導で悪質な業者が根絶されるのかに疑問を投げかけている。社会的な不正義を正すためには、当局の指導、規制が求められよう。

【神奈川新聞】


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