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【社説】新呼称「危険ドラッグ」 封じ込め徹底の契機に

社会 神奈川新聞  2014年07月30日 11:00

徹底して乱用を防止していく契機にしなければならない。警察庁と厚生労働省は、意識障害などの危険性が高いが法令で規制されていない「脱法ドラッグ」や「脱法ハーブ」の呼称を、「危険ドラッグ」「危険ハーブ」に変更することを決めた。覚せい剤や大麻に似た幻覚や興奮作用があるにもかかわらず、危険だと認識されず安易な使用につながっていると指摘されていた。

危険ハーブを含む危険ドラッグを使用した事故などは急増している。東京・池袋では6月、危険ハーブを吸入した男が運転した車が暴走、8人が死傷する事故が起きた。7月に入ってからも、愛知や宮城などで事故が相次いでいる。

厚労省研究班の調査では、使用後に意識障害を起こすなどして救急搬送された患者は、2012年の1年間に全国で469人に上り、前年の約10倍となっている。全国では使用が原因とみられる死亡例も確認されているという。

これほど危険性が高いのに規制されず、「お香」や「アロマ」などの名目で比較的安価で簡単に手に入れられるのが実態だ。規制対象の違法成分が含まれるドラッグを所持していた薬事法違反容疑で県警に逮捕された前県議は2年前から使用し、横浜市内の業者から購入していたとみられる。危険ドラッグは、それほど身近に蔓延(まんえん)している。

摘発するにも、こうしたドラッグの鑑定には数カ月かかってしまう。規制の網をくぐり抜ける「新種」も次々と登場しており、規制や取り締まりとの“いたちごっこ”が続く。

相次ぐ重大事故を受け、政府は対策強化に本腰を入れ始めた。国に任せるだけでなく、自治体にもできることはある。独自の防止条例を定めてドラッグを規制しているのは東京都や大阪府などわずか6都府県。自治体間格差に目をつけられ、規制のない地域へ業者が移動する傾向にあるという。各自治体が連携して規制の網を広げ、ドラッグを封じ込めることが効果的ではないか。

もとより、呼称を変えるだけで解決する問題ではない。さらに長期的な視点での対策も求められる。自らの人生を破滅させ、他人の生命を脅かしかねない危険性を、10代のころから学校教育などで徹底して伝えていくことが必要だろう。子どもたちを守ることは、日本の将来を守ることでもある。

【神奈川新聞】


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