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【社説】認知症対策戦略 多職種連携の後押しを

社会 神奈川新聞  2014年07月25日 11:00

認知症患者の増加、相次ぐ行方不明者といった状況を踏まえ、自民党の国会議員有志約40人が、「認知症医療の充実を推進する議員の会」を発足させた。

現職、元職の厚生労働相を中心に、認知症対策の国家戦略策定を目指す狙いである。医療、介護の両面で患者の治療、生活支援の充実、強化を後押しするとともに、早期診断の普及による予防策にも目配りした政策立案、実行を期待したい。

認知症に対し、あらためて社会が目を向けるきっかけになったのは、全国的に広がる行方不明者の発見、報告といえよう。

警察庁によると、2013年に認知症で行方が分からなくなり、警察へ届け出があった不明者は計1万322人に上る。

従来、認知症患者のケアは家族が担うか、施設への入居が中心だった。家族の過度の負担や認知症高齢者の増加傾向を踏まえ、国は「認知症施策推進5カ年計画(オレンジプラン)」を昨年4月にスタートさせ、地域社会全体で在宅ケアを支える施策へのかじを切った。

地域での包括的なケアを具体化するには、医師、看護師、介護士をはじめ在宅ケアに携わる多職種の連携が不可欠だ。何より大切なのは、個々の認知症患者の症状や他の疾病の有無、生活様式、食事などきめ細かな情報の共有といえよう。

患者のケアは24時間、365日必要である。ただし、在宅ケアは病院や施設とは異なり、常時、医師や看護師が付き添える状況にはない。

家族の負担の軽減、単身者への対応といった観点から、議連はICT(情報通信技術)を活用した24時間体制での見守りといった先進事例に対する支援のあり方を検討してもらいたい。モデルとなる取り組みを全国に拡大し、差し迫った課題の解決につなげていくべきであろう。

国家戦略とはいえ、最終的には担い手やリーダーの育成が多職種連携の要となる。特に介護現場では入所、通所者と接するスタッフの定着や経営基盤の強化が、安定的な運営を図るためには不可欠といえる。

認知症は今のところ、根本的な治療法がないが、人工多能性幹細胞(iPS細胞)技術の活用など先端分野で研究開発が加速している。県内でも特区を拠点に根治薬開発のプロジェクトが進んでおり、実用化へ一層の財政措置が必要であろう。

【神奈川新聞】


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