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【減災】“箱根・大涌谷の群発地震 火山ガスで予測研究 温地研

カルチャー 神奈川新聞  2014年07月21日 11:00

活火山である箱根火山の大涌谷周辺で不定期に発生する群発地震の消長を火山ガス(噴気)から予測する研究に、県温泉地学研究所が取り組んでいる。地表へ噴き出るガスの成分が、地震が活発になる前や終息前に変化する傾向を示すことが、最近の観測で分かってきたためだ。噴気を常時測定する仕組みの整備などに課題を残すが、地元の観光関係者は行楽客の不安解消にもつながると期待している。

温地研によると、火山ガスはマグマのたまっている深さ約10キロ前後の地下が発生源とみられ、地盤の割れ目などを伝って地表まで上昇している。ガスが地表から日常的に噴き出ている大涌谷の噴気地帯では、100度近いガスの熱によって周囲の樹木が立ち枯れを起こしている。

このうち噴気が活発な場所で通常は数カ月に1回ガスを採取して成分を調べているが、昨年1~2月に群発地震が起きた際は1週間~10日に1回と頻度を高め、水分を取り除いた上で成分を詳しく分析。成分の大半を占める二酸化炭素を分子、次に多い硫化水素を分母として濃度の比率(C/S比)を算出した。

その結果、群発の発生や活発化とともにC/S比が上昇しており、二酸化炭素の濃度が高まる一方で、硫化水素が薄まっていたことが判明。逆に、群発が終息していく段階や地震が起きていない平常時はC/S比が低下していく傾向がみられた。

群発がいったん収まった後の4月11日の測定では、低下していたC/S比が一転して上昇し、翌12日に地震活動が再び活発化したという。これらの結果を踏まえ、板寺一洋専門研究員は「ガスの成分変化が群発地震の消長に先行する可能性が高い」と分析。予測手法としての実用化も視野に研究を進めている。

ただ、実用化には課題もある。ガスが高濃度になると人体への影響が懸念されるため、人力で観測を続けるのは難しい。ガスの測定装置を設置する場合でも、コストや保守管理などの課題に加え、センサーが腐食する恐れもあるという。

昨年の群発地震でパイプやビンの付いた測定機材を持って噴気地帯に通い続けた代田寧主任研究員は「噴気の常時観測は特に、群発の発生後に活動が続くのか終息するかを判断するのに役立つ」と強調。「そもそも、ガスの成分がなぜ変化するのかも解明していきたい」と今後を見据える。

【神奈川新聞】


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