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芸術作品通し被災地支援 造形作家・斎藤さん遺作展 秦野で16日から

カルチャー 神奈川新聞  2014年07月15日 03:00

創作活動に励む生前の斎藤さん
創作活動に励む生前の斎藤さん

松田町寄に住み、創作活動を続けた造形作家の斎藤史門さん(享年61)の遺作展が16日から、秦野市寿町の丹沢美術館など3カ所で始まる。鉄を素材としながらも、重量を感じさせない独特の表現力で数々の賞を受賞。東日本大震災の被災地に作品を贈るなど支援活動にも取り組んだ。子ども心や復興への思いがあふれる作品に関係者が故人をしのぶ。

斎藤さんは三十数年前に中井町にアトリエを構え、創作活動を開始。その十数年後に松田町に拠点を移した。1983年に現代日本彫刻展で東京国立近代美術館賞を受賞するなど、20以上の賞を受賞。今年5月に胃がんが見つかり、6月20日に亡くなった。

バブル期には公共の場で野外彫刻を展示するケースが全国的に増え、斎藤さんも多くの発注を受けたという。現在は、横浜市立病院前や小田急線秦野駅前などのほか、東京都庁前や静岡・浜名湖のほとりなど、各地に作品が残っている。

立方体の鉄を積み上げた作品が代表的な作風。いくつもの立方体が面と角で接し、不安定な印象を与える一方で、重さを感じさせない作品に仕上がるのだという。妻の泉さん(55)は「本人はきっと積み木で遊んでいる感覚だったと思う」と遺作を前に推測する。

被災地支援にも積極的だった。野外彫刻を制作したことがある宮城県登米市に作品を寄贈。高さ約3メートルの透明な筒に現地で拾い集めたペットボトルをつぶして詰め込み、発光ダイオード(LED)で照らすオブジェ約60個で、建物や街灯が倒壊し、明かりがなくなった街に光をもたらした。

また、原発事故の影響で屋外遊びが制限された福島県南相馬市の保育園に木製のドームをプレゼント。震災の影響で変形したビルの鉄骨や漁船のいかりなどで制作した作品には被災者へのエールを込めた。

泉さんは「正直生活が大変なのに、『被災地に行かなきゃダメだ』と聞かなくて。引き付けられる思いがあったのだと思う。夢を追い掛けて生きているような人で、一緒にいて楽しかった」と振り返る。

遺作展はファンや作家仲間らが主催し、遺作計約70点が展示される。主催者の一人の露木順三さん(62)は「震災と誠実に向き合う斎藤さんの思いと、それを形にする技術の高さに感銘を受けた。作品に力がある」と話し、来場を呼び掛けている。

入場無料。22日まで。午前11時~午後6時(最終日は午後4時まで)。会場はほかに、「ぎゃらりーぜん」(秦野市立野台)、斎藤さんのアトリエ(松田町寄)。

問い合わせは、同美術館電話0463(83)9550。

【神奈川新聞】


漁船のいかりを使った斎藤さんの作品と妻の泉さん=松田町寄
漁船のいかりを使った斎藤さんの作品と妻の泉さん=松田町寄

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