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茅ケ崎産牛肉 海外に販路 斉藤牧場、県産で初 亡き父の夢、兄弟が実現

経済 神奈川新聞  2014年07月13日 12:00

牧場に併設した直売所で、自らさばいた「ちがさき牛」を並べる斉藤忠道さん=茅ケ崎市芹沢
牧場に併設した直売所で、自らさばいた「ちがさき牛」を並べる斉藤忠道さん=茅ケ崎市芹沢

今年3月、県産牛として初めて、斉藤牧場(茅ケ崎市芹沢)の「ちがさき牛」が海外進出を果たした。実現させたのは30代の兄弟。「新しいことに挑戦しなければ、生き残れない」が口癖で、昨年秋に急逝した父の「香港に住む長女に届けたい」という夢を、家族ぐるみでかなえた。兄弟は香港への支店出店を目標に、知名度アップに力を入れている。

2011年5月から地元のブランド牛として売り始めたちがさき牛は、高級志向な和牛と異なり、和牛とホルスタインの交雑種。だが海藻やミネラル、納豆菌など約15種類をブレンドした特製の餌で育て、「マグロのような脂質で、くどくないと好評」と弟の斉藤忠道さん(32)は胸を張る。

食肉処理場から買い戻し、自らさばいた牛肉を、畜産業としては茅ケ崎市内初の直売所で提供。牛海綿状脳症(BSE)や口蹄(こうてい)疫、原発事故による放射能汚染などの風評被害を教訓に、市場の動向に左右されない販売形態を目指した結果だ。

転機となったのは、当初は家業を継ぐ意思がなかった忠道さんと兄勝己さん(33)が03年、牧場に戻ってきたことだった。父の実さん1人だったこれまではできなかった県外研修に、息子を積極的に派遣。餌の改良など品質のさらなる向上へ試行錯誤を続けた。

実さんは、そうした努力が結実したちがさき牛で、県産牛として初の海外進出を夢見ていた。だが昨年10月、69歳で急逝。兄弟への世代交代を見据え、経営が軌道に乗り始めた直後だった。

父の死が、兄弟を奮い立たせた。「県産牛の海外進出は前例がない分、ビジネスチャンスでもあった」と忠道さん。最初の輸出先は、父の夢だった姉未華子さん(35)が住む香港に見定めた。「家族一丸となって取り組むことで、父の死を乗り越え、支え合えるとも思った」と忠道さんは振り返る。

障壁はいくつもあった。食肉処理場の慣例では、1回につき6頭の出荷が必要で、そのうち輸出されるのは高品質部位のみ。交雑牛の販売ルートはなく、自ら開拓しなければならなかった。だが、JA全農かながわや、生産から加工、販売まで手掛ける「6次産業化」を支援する横浜銀行のバックアップで、難局を乗り越えた。

未華子さんの奔走で輸出先がインターネット通販会社に決まったのは、ちがさき牛が現地に届くわずか3日前だった。今年3月21日に到着後、香港で行われた試食会では、ちがさき牛約13キロがステーキとして提供された。参加者からは「和牛は脂っこい印象だが、くどくなくておいしい」と好評だったという。

忠道さんらは海外進出を機に、まずは国内での知名度アップに期待をかける。交渉が続く環太平洋連携協定(TPP)にも「結果はいずれ出る。日本の牛肉は世界一。自信を持って動いていくべき」と積極姿勢を見せる。

次の輸出は未定だが、今後も香港を中心にちがさき牛を売り込むつもりだ。忠道さんらは「味覚が近い香港では、日本産牛肉が人気。いつか支店を出せたら」と意気込んでいる。

【神奈川新聞】


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