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市制90年 川崎今昔記〈10〉市政(下) たゆまぬ変革の流れ

政治行政 神奈川新聞  2014年07月12日 11:11

市制90周年記念式典で福田市長(左)から特別功労賞を授与される阿部前市長=1日、ミューザ川崎シンフォニーホール
市制90周年記念式典で福田市長(左)から特別功労賞を授与される阿部前市長=1日、ミューザ川崎シンフォニーホール

公害、ギャンブル、風俗…。川崎市は今、ひと昔前に植え付けられたイメージから脱却し、音楽など新たな分野で売り出す道へとかじを切り始めている。

そのシンボル的な施設「ミューザ川崎シンフォニーホール」(川崎市幸区)で1日、市制90周年記念式典が開かれた。「市民が誇りと愛着を持つ『最幸のまちかわさき』の実現に向けて未来を切り開きたい」。福田紀彦市長(42)が100周年へ向け、高らかに宣言した。

■地域資源を活用 「誇りと愛着を持てるよう川崎のイメージを変えた功績は大きい」。そんな評価が向けられるのは、2001年11月から3期12年市長を務めた阿部孝夫さん(70)。長く続いた「革新市政」を引き継いだ当時の川崎の印象を、こう振り返る。

「(就任前は)何もない田舎の町、村おこしを手伝ってきた。それに比べ川崎はいい材料があるのになぜ使わないのか。出来上がったまちにぶらさがっていれば、じり貧になる」

市内にある資源を活用し、まちのイメージをチェンジさせ、地域社会に活力を生み出す-。ミューザや市内音楽大学を生かした「音楽のまち」をはじめ、映像やスポーツをまちづくりに取り込んだ。

産業もしかり。羽田空港至近の地理的条件や市内のものづくり風土を生かし、空洞化の進む臨海部をライフイノベーションの戦略拠点に転換したのは典型例だ。「12年間でいい種を伸ばし、流れはつくった。川崎の可能性、歴史的条件を考えれば、世界の問題を解決することができる」

市役所内部にも変革をもたらした。市内産業の活力低下で市税収入が落ち込む一方、職員組合に支えられた長年の革新市政による人件費の高さなどで財政硬直化が進展。「まさに役人天国で市民そこのけだった。時代は方向転換している」と厳しい目を向けてきた。

財政危機宣言を出し、行財政改革を断行。民営化や施策の見直しで1万6千人だった職員を12年間で約3千人減らし、人件費は923億円から657億円に削減した。それでも「もともと水ぶくれ。ようやく普通になっただけ」。

■注目の総合計画 「市民の市民による市民のための政治を川崎から発信することを誓う。すべては市民のために全身全霊を傾けたい」。福田市長は、13年11月の初登庁で第一声に力を込めた。

「市民市長へチェンジ」のスローガンの下、市民要望が強いとして待機児童解消と中学校給食導入を最重要課題に掲げ、矢継ぎ早に手を打った。待機児童は昨年の438人から62人まで減らし、来年のゼロへ道筋を付けた。

ただ、二枚看板はもちろん他の公約実現にも肝心なのは財源の確保だ。阿部さんは行革で捻出した財源で次に踏み出したが、福田市長は施策が先で財源は後から。策定中の新総合計画や行革プランの中身が厳しく問われることになる。

戦後復興から公害克服、まちのイメージ向上など、時の市長が時代に合わせ、変革を繰り返してきた川崎市。今後145万都市をどう導くのか。福田市長は言う。「『力強い産業都市づくり』と『安心のふるさとづくり』の両輪のバランスが重要。日本の成長戦略をけん引し、超少子高齢化に対しても川崎らしい施策を進め、持続可能な都市にしていく」

【神奈川新聞】


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