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【社説】増税後の短観 家計、人手への目配りを

経済 神奈川新聞  2014年07月10日 12:00

消費税率引き上げからの景気回復は、はたして着実に進むのか。一見まだら模様の各種経済指標からは、「個人消費改善」と「人手不足解消」がキーワードとして浮かび上がりそうだ。

日銀が1日に発表した6月の企業短期経済観測調査(短観)で、企業の景況感を示す業況判断指数が1年半ぶりに悪化した。県内は全産業で前回調査(3月)から7ポイント下落。多くの業界で想定を下回ってはいるが、「底打ち感が見えない」といった厳しい声も聞かれる。

家計の消費支出8・0%減、実質賃金3・6%減。この二つの数字は、個人消費の一段の弱まりを如実に表している。

5月分から電気・ガス代にも消費税率8%が適用されるようになり、7月からはハムやバターといった食品の値上げが続く。イラク情勢の悪化もあってガソリン代は高止まりしている。財布のひもが緩む要素を見つけにくい。

5月の全国消費者物価指数は前年同月比3・4%上昇。第2次石油危機後の1982年4月以来という大幅増だが、増税で実質所得が減少しており賃金上昇はこのペースに追いついていない。政府は物価上昇がデフレ脱却に向けた前進と評価するが、結果的に消費の低迷が景気の腰折れを招く懸念が拭えない。

5月の全国有効求人倍率1・09倍、失業率3・5%と改善する一方、住宅着工戸数が15・0%の大幅減。ここで見えてくるのが、人手不足だ。建設だけでなく小売りなどの業界で顕著になっている。

公共工事では、資材価格の高騰も相まって、受注業者が決まらない入札不調が相次ぐ。民間のマンション建設も十分な人手を確保できずに着工が遅れる事案が目立つ。小売りでも営業休止に追い込まれる店舗が続出している。

人口減少が確実な中で、働き手不足が深刻化するのは自明の理だったが、景気低迷期は目先の余剰人員対策が優先され、問題解決が先送りされてきた。そのつけが回ってきたともいえる。成長戦略に掲げた女性や高齢者の登用を進めるべきだ。

年末には消費税再増税の判断が控え、2014年下半期は日本経済の先行きを占う大事な局面になる。細る個人消費、拡大する人手不足に目配りした、実効性ある政策が求められる。

【神奈川新聞】


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