1. ホーム
  2. 社会
  3. 泉区唯一の分娩医療機関が今秋からお産休止 医師不足で

泉区唯一の分娩医療機関が今秋からお産休止 医師不足で

社会 神奈川新聞  2014年07月03日 03:00

横浜市泉区で唯一の出産が可能な医療機関として、年間700件余りの分娩(ぶんべん)を扱ってきた国際親善総合病院(泉区西が岡)が今秋から、産科医不足で分娩を休止することが分かった。3月以降に急な退職や派遣中止が重なったためで、9月以降の分娩を予約していた100人近くの妊婦には事情を説明し、他の医療機関へ移るよう求めている。病院は「苦渋の決断だが、5人いた常勤医が1人に減り、緊急時などの安全確保が困難と判断した。何とか医師を採用し、出産できる環境を整えたい」としている。

同病院は1990年に相鉄線弥生台駅近くの現在地に移転後、地元の産科診療所と役割を分担する「セミオープン」と呼ばれるシステムを県内で初めて採用。日ごろの検診は妊婦が希望する身近な診療所で、出産は設備の整った同病院で行うこととし、通院の負担軽減を図りながら安心して出産できる環境を提供するという試みの中核施設となっている。

「産科医不足に対応したモデルケース」として注目されていたが、10年ほど前に年間千件を超えていた分娩件数は、医師の入れ替わりなどもあってここ数年は同700件余りで推移。今年3月から4月にかけて4人の常勤医が相次いで別の医療機関へ移るなどしたため、5月からは分娩件数を月約20件に抑えて慎重に継続する一方、来年の予約を受け入れないことにしていた。

その後さらに、当直などを担っていた順天堂大の非常勤医3人も今年6月限りで派遣されなくなることが決まり、9~12月に出産予定の妊婦には、別の医療機関に移るよう依頼せざるを得ない状況になった。7、8月に臨月を迎える妊婦については、院内や周辺診療所などの協力態勢を可能な限り整えた上で、予定通り分娩を行う。

村井勝院長は「妊婦の方々には大変申し訳ないが、不安を感じることがないよう対応したい。助産師を手厚く配置するなど産婦人科に力を入れてきた病院の歴史や役割も踏まえ、医師確保の取り組みを粘り強く続けながら今後の方向性を見いだしたい」としている。事態の打開に向け、県内に医学部を置く4大学(横浜市大、聖マリアンナ医大、北里大、東海大)などに医師派遣の協力を求め、公募も続けているが、今のところ複数の常勤医を確保できるめどは立っていないという。

県産科婦人科医会の調査によると、同病院が横浜市泉区で唯一の分娩医療機関となったのは、10年以上前から。市内では緑区や栄区も、出産できる医療機関が1カ所もない状況が続いている。県内全体の産科医師数は微増傾向だが、同医会関係者は「充足はしておらず、“お産難民”の問題は解消していない」と指摘。秦野市の秦野赤十字病院も、産科医派遣元の昭和大から本年度限りでの医師引き揚げを通告されている。

【神奈川新聞】


シェアする