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【社説】神奈川フィル 魅力のさらなる向上を

カルチャー 神奈川新聞  2014年06月29日 09:48

神奈川フィルハーモニー管弦楽団は経営危機と厳しい財政再建を乗り越え、4月に公益財団法人に移行した。今月からは、同楽団を支援する官民を挙げた新組織「神奈フィル・ブルーダル・サポーターズ」の活動がスタートした。

これまで支援に当たってきたのは、2011年に発足した「がんばれ!神奈フィル 応援団」だった。官民が協力した同組織は「ブルーダル基金」を設立し、支援金集めを展開。不可能ともされた高額な寄付金を企業や市民などから集めた。こうした活動を抜きに楽団が命脈をつなぐことはできなかった、と言っても過言ではない。

新たに発足したサポーターズは、応援団の意志を継ぐ組織である。県や横浜、川崎市のほか県内企業関係者や有識者らで構成され、寄付金集めなどを通して楽団の安定経営を支えていく。

今後の命運を握るのは、サポーターズになろう。公益財団法人への移行はほんの入り口にすぎなかった。今後、債務を負ってしまえば法人格を失ってしまう。寄付金が楽団にとって頼みの綱である状況に変わりはない。そうした状況に理解を示し、支援に立ち上がった地元の力に敬意を表したい。

神奈川フィルを取り巻く状況は、依然として厳しい。国内外のライバルがひしめく首都圏の楽団であることに加え、オーケストラにとって景気がよいとは言い難い状況が続いている。自治体からの助成金や企業の協賛金集めに苦労するのは、大きなスポンサーを持たない全国の楽団に共通する悩みである。

一方で、地元が官民一体となり、楽団を支えるという仕組みにおいては、神奈川フィルが全国でも先進的な存在といえよう。その意味で同楽団は恵まれており、オーケストラと地域のあり方として全国からも注目されている。

だからこそ、楽団には支援に甘えず、より魅力ある高いレベルに育ってもらいたい。それが地元への最大の恩返しであろう。

同楽団は4月から、常任指揮者に若手の川瀬賢太郎さんを迎えるなど体制を一新している。川瀬さんの伸び伸びとした指揮は、業界でも注目を集めている。

これからどのようなオーケストラに育っていくのか。県民として楽しみに見守っていきたい。

【神奈川新聞】


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