1. ホーム
  2. 社会
  3. 「規制のビーチ ”2014夏@湘南」(4)二段構え

「規制のビーチ ”2014夏@湘南」(4)二段構え

社会 神奈川新聞  2014年06月27日 14:00

江の島海水浴場協同組合が海の家に貸与するスピーカーやラジカセ
江の島海水浴場協同組合が海の家に貸与するスピーカーやラジカセ

◆「安全な海」へ試金石

前年までの騒乱がうそのように静まりかえっていた。浜辺に流れるのは放送塔からのFMラジオ放送だけ。それすら午後5時で終わりだ。

2013年夏、海の家での音楽を全面的に禁止する自主ルールを定めた藤沢市の片瀬西浜海水浴場。厳しい姿勢で県内のクラブ化規制の先陣を切ったが、14年夏は一転、再び海の家での音楽が解禁されることになった。

海の家を束ねる江の島海水浴場協同組合の新井進理事長は「『音楽=悪』ではない」と強調し、こう続ける。「ただし、クラブ化は二度とごめんだ。そうならないよう二重三重に網を掛けていく」

組合が結論を出した14年夏のルールは、店内でのBGM程度の音楽は認めるという内容だ。使用できるスピーカーやラジカセは、組合が事前に許可したものか貸与したものに限定。店外への設置は認めない。

新井理事長は「何デシベル以内という厳密な数値規制こそないが、これで大音量は防げる」と説明。はたからは“緩和”にも映りかねないが、「(今年2月に示された)県のガイドラインでも音楽を流すこと自体は認められている」と理解を求める。

そもそも、13年夏の厳しいルールには自戒の意味を込めていたと明かす。

「12年があまりにひどかったから、組合として自らに罰則を科した。いわばイエローカード。それぐらいしないと、世間の理解が得られないと思った」と新井理事長は振り返る。

その一方で、急激な規制強化は海水浴客の反発を招くことにもなった。13年の来客数は約209万人。一概に規制だけが要因とは言い切れないが、前年より56万人も落ち込んだ。

「昨年はラジオ放送もほとんど聞こえないぐらいだった。外に漏れる大音量はまずいが、店内のBGM程度は認めてくれないと、雰囲気が出ない」。海の家を開設する男性(57)はそう求める。

市観光協会の福島勇専務理事も「音量が制限された中での音楽は、海水浴客にとっても良い環境と言えるのでは」と今夏の方針を歓迎する。

「昨年は守ってくれたわけだから、こちらも組合員を信用しないといけない。昨年の厳しい規制で組合員もクラブは絶対にいけないと認識したはずだ」と新井理事長。もちろん監視やパトロールは今夏も引き続き強化し、防犯カメラも2カ所に新設した。あまりにひどい違反の場合は、スピーカーの没収や営業停止も辞さない覚悟という。

市観光課は「昨年のやり方は健全化の過程で必要な荒療治だったかと思うが、そこが着地点とは思っていない」と指摘。福島専務理事も「昨年がステップワンなら、今夏はステップツー。安全安心な海を取り戻すことが、長い目で見れば、来客数の安定につながるはず」と期待を寄せる。

「今夏こそ正念場」と位置付ける新井理事長は力を込める。「1年でルールが破られはしまいか、懸念を持っている人もいるだろう。だからこそ、行動で示したい」。二段構えの取り組みが実を結ぶか、試金石の夏がいよいよ始まる。

=おわり

【神奈川新聞】



シェアする