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川崎と横須賀 街の活力に差 人口増減で明暗くっきり

社会 神奈川新聞  2014年06月26日 03:00

人口減の中、地域活性化の起爆剤にしようと高層の商業・住宅用ビルの建設も進められている=京急線横須賀中央駅前
人口減の中、地域活性化の起爆剤にしようと高層の商業・住宅用ビルの建設も進められている=京急線横須賀中央駅前

なぜ横須賀から人は離れ、川崎には集まるのか。人口動態調査で全国ワーストの減少数と最多の自然増と明暗が分かれた横須賀市と川崎市。民間の開発業者が向けるまなざしからは「まちの魅力」の差異がくっきりと浮かび上がってくる。

数字は語る。マンション市場に詳しい不動産経済研究所(東京都新宿区)によると、2013年に横須賀市内で完成したマンションは63戸。売れ行きの目安である初月契約率は好調の70%を大きく下回る50%台だった。

対して川崎市内の供給戸数は3681戸。

県内の不動産開発業者幹部が明かす。「わが社では3年ほど前から横須賀での物件供給を手控えている」

指摘するのは地域マーケティングの指標である「民力」の衰えだ。人口や世帯数・就業者・事業所の数、商店の年間販売額など各種データから民間ベースの経済力を図るもので、人口減は民力低下につながるため、横須賀は悪循環のさなかにあるといえる。

同社幹部は「売れ行きは芳しくない。値下げしてもなかなか売れず、リスクは負えない」と説明する。

一方、川崎については「横浜よりも力強い」。マンション購入者の多くは希望物件のほかにも周辺の物件を見比べ、最終的な判断を下す。価格面などで折り合わなかった消費者を取り込もうと、供給サイドはさまざまな物件を用意する。供給が人を呼び、人がさらなる供給を呼ぶ好循環にあるというわけだ。

県内にあってくっきり別れる明暗。不動産市場に詳しい東京カンテイ(東京都品川区)市場調査部の井出武主任研究員は、横須賀の低落傾向に「ベッドタウンとして成熟を遂げ、安定した人口と税収に自治体があぐらをかいた典型的な例」と手厳しい。市内の工場の縮小・移転で雇用が細り、若者の流出に拍車が掛かるという悪循環を指摘する。高齢化が進む中、それを断ち切るには、若い世代を引きつけるイメージ戦略が鍵を握る。

その好例が川崎で、工場移転は同じ状況にあったが、都心や横浜への交通利便性の高さといった優位性に加え、「武蔵小杉の高層マンションにみられるように、工場が立ち並ぶかつてのイメージを覆す街づくりが現在進行形で進んでいる」と井出主任研究員。

県内では、2012年の人口動態調査で藤沢市が東京23区と政令市を除いて全国1位の増加数となっており、井出主任研究員は「横須賀は川崎や藤沢といった、より競争力の高いまちに居住者が奪われており、人口が減る方向へ一層力が働いてしまうだろう」とみている。

◇定住志向は「財産」

福田紀彦川崎市長の話 自然増1位は大変うれしい。定住して産み育てようという人が多いということ。これは市の財産だ。

◆全力で定住促進を

吉田雄人横須賀市長の話 今回の発表をバネにして、全国1位からの挑戦という意味で、全力で定住促進の取り組みを進める。

◆町村ワースト愛川町 町長選3候補が対策訴え

人口が564人減り、全国町村で最多の減少数となった愛川町。折しも29日投開票の町長選の真っ最中で、3候補はそれぞれ人口減少・定住対策の重要性を訴える。

山中正樹氏は「特区制度を活用し、介護ロボット分野の企業を誘致して雇用の場を増やすことが最も良い対策。圏央道開通は大きなチャンスだ」と話す。

斎藤誠氏は「住民意識調査で移転したい理由として若い世代を中心に通勤・通学の不便が最も多い。交通の利便性向上が求められている」とする。

小野沢豊氏も「町は家賃補助などを実施してきたが、効果がなかなか出ない。交通不便の解消のため、小田急多摩線延伸の実現に努力したい」と話した。

今回の調査では社会減少数も全国最多となったが、町住民課は「食品メーカーの従業員寮が町外に移転したのが大きな要因」と分析している。

【神奈川新聞】


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