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「規制のビーチ "2014夏@湘南」(1)奔走

社会 神奈川新聞  2014年06月24日 10:30

「No Alcohol」「No sound」…。海での禁止事項を伝える横断幕が張られている=逗子海岸
「No Alcohol」「No sound」…。海での禁止事項を伝える横断幕が張られている=逗子海岸

「No sound」「Cover Tattoo」「No Alcohol」。ピクトグラム(絵文字)と英語の表記とともに、スピーカーなどで音楽を流すことや砂浜での飲酒、入れ墨・タトゥーの露出を禁止する趣旨が説明されている。

海の家の建設が大詰めを迎える逗子海岸。その海岸を見下ろす国道134号沿いの渚橋(なぎさばし)に、縦90センチ横10メートルの横断幕が掲げられた。

昨夏の治安悪化や風紀の乱れを受けて、「日本一厳しい」(平井竜一市長)と銘打ち逗子市が制定した、海水浴場に関する改正条例と規則。今夏の成否の鍵を握るのは、新たなルールの事前周知だ。

ポスター千枚、ポストカード8千枚、チラシ1万5千枚。市担当課は「思いつく限りの方法」で周知に奔走する。京急線新逗子駅やJR逗子駅の構内、駅に近い商店街にポスターを掲出。周知チラシは海水浴場を訪れた利用客に配布する。若者の目に留まるよう、短文投稿サイト「ツイッター」や交流サイト「フェイスブック」でも情報を発信する。

手応えもあった。5月末に開かれた逗子海岸花火大会。寄せられた問い合わせに「花火大会でもお酒は飲んではいけないのか」といったものが「かなりの件数あった」(担当課)。「逗子の海では規制が厳しくなるらしい、という情報が少なからず広まっている」と受け止める。

気掛かりなのは、逗子海岸営業協同組合(原敦代表理事)との“二重基準”が解消されていないことだ。組合側は市の条例・規則が表現の自由や営業の自由に反するとして、条例の取り消しなどを求め提訴。今夏は(1)営業は午後8時半まで(2)音楽イベントは行わないが、各店が自由なBGMを流す-と主張してきた。

組合側は5月、「営業は午後6時半まで」「楽器やスピーカーなどを使用して音楽は流さない」という条例の内容に沿った自主ルールを策定した。対立関係から一転、市側に歩み寄りを見せた格好だが、海開きから約2週間の暫定措置。7月15日以降の対応は未定だ。

「市と組合で違う運営をしたら、来場者は混乱してしまうよ」。逗子海岸近くに住む自由業の男性(49)は困惑した表情を見せる。市の厳格な条例にはおおむね賛成の立場で、「ファミリー向けに特化するのはいいと思う。今年はやっと海に行ける」と1歳10カ月の長女にほほ笑み掛けた。

中学3年の長女がいる主婦(48)も「昨夏までは危なくて、子どもたちだけでは海に行かせられなかった」。一方で、こうも感じる。「音楽まで全部だめというのは寂しい。一気に寂れてしまいそう」

平井市長は「一度リセットする」と繰り返してきた。市担当課も「今夏は、来夏以降をどうするのか考える一つのバロメーター」。利用客の反応を見つつ、緩めてもよい規制と、維持するべき規制のあり方を検討していく考えだ。

市、組合、市民それぞれにとって、未体験の夏が27日から始まる。

県内海水浴場利用客の8割を迎える湘南のビーチ。海の家のクラブ化や治安の悪化、風紀の乱れを受けて昨夏、音楽禁止をはじめとする規制に次々と乗り出した。今夏、各ビーチは独自の対策を講じてシーズン到来を迎える。安全と湘南のビーチ文化は共存できるのか。海開き前に、現場を歩いた。

【神奈川新聞】



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