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【照明灯】施設に温かさを

社会 神奈川新聞  2014年06月15日 11:44

開業10周年を迎えた「みなとみらい線」はそれぞれに駅の個性が光る。近未来都市の「みなとみらい」やれんが色の「馬車道」。地下鉄駅でも周辺の街並みが連想できて楽しい▼「元町中華街」はアーチ状の白い壁面に開港当時の生活を切り取ったモノクロ写真がうっすらと焼き付けてある。非日常的な空間を創り上げたのは“建築界のノーベル賞”プリツカー賞を昨年受賞した伊東豊雄さんである。開業当時、取材に「駅を一冊のガイドブックにしたかった」と話してくれた▼建築への思いを語った言葉が印象に残っている。「20世紀の建築は大量に造ることがテーマだった。その近代主義を良しとしてきた自省も込め、もっと温かさや楽しさを生み出したい」。東日本大震災後、住民と協働した復興建築が話題にもなった▼2020年東京五輪に向け、7月に解体が始まる国立競技場の建て替えが物議を醸している。伊東さんら建築家や市民らは新施設案が巨大過ぎて景観に調和しないことや予算の肥大化、情報開示の欠如を問題視している。伊東さんは改修で済ませる代替案も提起した▼五輪を錦の御旗に異論を許さないような大型公共事業は時代錯誤である。施設に温かさを感じられるよう成熟国家らしい知恵を絞りたい。

【神奈川新聞】


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