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【照明灯】七変化

カルチャー 神奈川新聞  2014年06月08日 10:00

涼しげなアジサイの「七変化」が夏を彩る。鎌倉市観光協会の「納涼うちわ」の今年の絵柄である。市内在住の日本画家木下めいこさんが描き下ろした▼1977年から地元ゆかりの漫画家横山隆一さんや日本画家の小泉淳作さん、中島千波さんらそうそうたる顔触れが絵筆を握ってきた。38作目を手掛けた木下さんは「鎌倉らしい花で歴代のうちわの柄にないものを」と思い構想を練ったという▼プラスチック製が主流のなか、1本ずつ手作りした竹製で鎌倉みやげとして人気が高い。加えて東京電力福島第1原発の事故で節電が求められた2011年から拍車がかかった。3年連続で完売し在庫も放出している。今年は昨年より千本増やし、1万6千本製作した。1本310円で、6月30日からJR鎌倉駅東口の観光総合案内所などで販売する▼「日本一の産地」を誇る香川・丸亀でも事情は似通う。1955年前後が最盛期だったうちわの需要は、かまどやしちりんなど炊事用具の様変わりやエアコンの普及で減少した。それが節電意識の高まりが追い風となり、出荷が3割ほど増えたという▼「蚊帳の中団扇(うちわ)しきりに動きけり」(杉田久女)。暮らしの場から蚊帳が姿を消して久しいが、古都の夏に、うちわはやはりよく似合う。

【神奈川新聞】


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