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【社説】地方都市が消える 町の再生が存亡の鍵に

社会 神奈川新聞  2014年05月20日 10:35

地方都市が消滅する-。

日本が将来、信じがたい危機に直面する試算を、有識者らによる「日本創成会議」が打ち出した。

仕事を求めて若い女性たちの大半が大都市に移り住む。人口減が進む地方では高齢者さえ次第にいなくなり、自治体の運営が行き詰まる。

現在のペースでは30年間で、20~30代の女性が半分以下に減ってしまう市区町村が896に達する。首都圏の神奈川でさえ、三浦や箱根、真鶴など9自治体が消滅危機に陥るというから驚く。

少子高齢化が社会問題になっているが、地方都市では年金生活を送る高齢者が納める税金や消費により、かろうじて支えられている自治体が多いのが実態である。

そこに暮らす人たちの多くが、介護や医療の仕事に就いている。お年寄りが減れば、こうした仕事さえなくなることになり、若年層はますます地方を見捨てざるを得ない。多様な技術や知識、意欲を生かせるような産業を、地方にも早急に生み出さなければならない。

危機はさらに東京や横浜といった大都市にも及ぶ。

押し寄せる若者に仕事が行き渡らず、貧困や格差が深刻化する恐れがある。東京では労働者を使い捨てにするブラック企業が存在するなど、若者を育てることなく消費する、あり地獄のような様相を呈し始めた。これでは首都圏でも結婚、出産に踏み切れない女性が増え、少子化が加速する状況になる。

この上、飽和状態の大都市を震災が襲ったらどうなるのか。極度の人口集中が国家崩壊をもたらす危険性の存在を試算は訴えている。

どうすれば地方をよみがえらせることができるのか-。持続可能な日本に向け、国民を挙げて考えるべき課題である。

地方分権や公共事業の配分といった従来の枠組みでは、もはや解決は難しいだろう。大都市ならまだしも疲弊し切った自治体には、自ら立ち直る潜在力は乏しい。

四季の織りなす自然や伝統文化が残る田舎には、まだまだ宝が埋もれているはずだ。個々の町が多様な魅力を放ち、安定した生活空間を維持できるような「国のかたち」を中央主導で模索すべきだ。それが大都市を守ることにもつながる。成長戦略として、早急に打ち出さなくてはならないテーマといえよう。

【神奈川新聞】


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