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第4次厚木訴訟判決へ
爆音の行方(中)事故続発、尽きない不安

社会 神奈川新聞  2014年05月19日 12:00

三浦市の埋め立て地で不時着に失敗、横転した米海軍厚木基地所属のヘリコプター=2013年12月16日(共同通信社ヘリから)
三浦市の埋め立て地で不時着に失敗、横転した米海軍厚木基地所属のヘリコプター=2013年12月16日(共同通信社ヘリから)

 米海軍厚木基地(大和、綾瀬市)が住民にもたらす被害は騒音だけではない。

 1月9日、綾瀬市で飛行中の戦闘攻撃機からブレーキの金属部品が落ちた。けが人はなかったがワゴン車の窓ガラスを割った。その前月の昨年12月16日には三浦市でヘリコプターが不時着に失敗し、乗員2人が負傷する事故も発生。米軍や国は不時着としたが、横倒しになった機体は全壊。墜落と見まがう惨事だった。

 周辺人口250万人。基地を取り囲むように一戸建て住宅やマンションが立ち並ぶ。事故が起きるたびに、米軍は再発防止を誓うが、毎年のように事故は起きている。それだけに市街地への墜落の恐怖を感じる市民は多い。

 基地の北方約2キロ。大和市西鶴間で幼稚園を運営する山口繁美さん(67)は第4次厚木爆音訴訟の原告の一人だ。2階建て園舎を前に「この建物が完成した40年ほど前、鉄筋園舎の幼稚園はほとんどなかったが、万一に備えたシェルター代わりに、あえて頑丈に造った」と振り返る。

 屋根でポツポツとした黒い油のシミを見つけたこともあるという。部品落下が相次ぐだけに、「軍用機のオイル漏れじゃないか」との疑念は消えない。

 園児は87人。園庭で運動会の練習をする子どもたちの声は上空を飛ぶジェット機の轟音(ごうおん)でしばしばかき消される。それでも、ドアや窓を減らしたくないと、防音工事はしていない。なぜか。「何かあったら、すぐに外に逃げられなくなる」

 普段の生活が軍事と隣り合わせの環境にあるだけに、安倍政権が進める集団的自衛権の限定行使容認に向けた憲法解釈の変更に対し、心配する声も大きい。大和市議会は今年3月、「立憲主義の立場から容認しないよう求める」とする意見書案を可決し、懸念を示した。

 意見書案に賛成した町田零二市議(34)=明るいみらい・やまと=は「平時でも部品落下はなくならない。戦時にミサイルや燃料を満載した飛行機でトラブルがあったら、という恐怖は消えない」と明かす。反対した自民系の菊地弘市議(66)=新政クラブ=は「軍事基地だから問題ということではなく、住宅密集地域の中に飛行場が置かれていること自体が問題だ」と主張する。どちらも住宅密集地にある飛行場がはらむ危険性は認識している。

 園舎越しに空を見上げながら山口さんは訴える。「生まれ育った大和市で、安全な空の下で暮らしたい。これだけ多くの人が住んでいる以上、飛ぶこと自体に危険が伴う。飛行差し止めを勝ち取り、基地の撤去につなげたい」


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