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被災地を海遍路 逗子の冒険家・八幡さん「自然と人間、関係見詰め直す」

社会 神奈川新聞  2014年05月16日 10:17

出航の準備を整える八幡暁さん
出航の準備を整える八幡暁さん

逗子市在住の世界的な海洋冒険家、八幡暁(さとる)さん(39)が15日、東日本大震災で被災した沿岸をシーカヤックで巡る旅に出た。研究者とともに震災から3年2カ月後の現状を調査して回る。漁業の復興、漁村の再生、津波で断たれた人と海のつながり-。「海抜ゼロの視点から自然と人間の関係を見詰め直したい」。宮城県名取市から約700キロを半月かけて北上し、気仙沼市を目指す。

浜や港でキャンプをしながら全航程をカヤックで移動する。メンバーは八幡さんのほか、魚類生態の調査研究者で高知大の山岡耕作名誉教授(65)や森と海の自然再生に関する研究で知られる京都大の田中克名誉教授(71)ら。

調査の狙いについて、山岡名誉教授は「津波で被災した漁村がどのように再生しているのか海から確かめたい。それは人の強さであり、未来を見詰め直すことでもある」と話す。

八幡さんらは2011~13年に延べ51日をかけカヤックで四国を1周する「海遍路(へんろ)」を行った。衰退する漁村、それでも海とともに生きる人々に触れ、「海の暮らしから学ぶ未来の知恵」を知ったという。

このときにNPO法人海遍路を立ち上げ、山岡名誉教授が代表を務める。今回の調査は海遍路・東北編と位置付け、陸地からでは見渡すことの難しい現状を海から連続的に調査し、被災者に話を聞いて回る。

06年の台湾-与那国島間単独無伴走をはじめ数々の人力航海世界記録を持つ八幡さんは大震災を経験した今だからこそ、多くの人に自然と向き合う大切さを知ってもらいたいという。

「海とともに暮らす人々の知恵や生き方は、島国に住む僕らの生活の中から消え去ろうとしている。だが自然はすぐそこにあり、人は確かにその中で生きている。そのことを実感できれば、自然との向き合い方や生きる意味も、また違って考えることができる」

17日には宮城県東松島市で「海を語ろう」をテーマとするシンポジウムを開催。ゴールの30日には田中名誉教授が理事を務めるNPO法人森は海の恋人による植樹祭に合流し、旅を終える計画だ。

【神奈川新聞】


名取川河口からこぎだす八幡さん(手前右)。背後には震災後に築造された高さ6メートルほどの防潮堤が続く=宮城県名取市
名取川河口からこぎだす八幡さん(手前右)。背後には震災後に築造された高さ6メートルほどの防潮堤が続く=宮城県名取市

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