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【照明灯】いつか来た道

社会 神奈川新聞  2014年05月09日 11:19

横浜など日本の主要都市が市制100周年を迎えた25年前、博覧会など多くの国際行事が行われた。各国視察団が驚いたのが通勤電車の運行の正確さと混雑ぶりだ

▼南アフリカの一行はさらに加えてびっくりしていたという。「人種を分けていないのに同じ車両に詰め込むのか」。警護担当の警察関係者から聞いた話である。同国のアパルトヘイト(人種隔離)政策ではバス、公衆トイレ、海水浴場など交通機関や公共施設を「白人専用」とそれ以外とに分けていた

▼視察団員に日本はさぞ野蛮な国に見えただろう。だが、世界から白い目を向けられていたのは自分たちであった。故ネルソン・マンデラ氏が南アフリカ大統領に就任して20年となる。与党として同氏を支えたアフリカ民族会議(ANC)は政権を維持してはいるが、今回の総選挙では苦戦した

▼汚職騒動の影響もあったが、アパルトヘイトを知らぬ世代が有権者となったことも見過ごせない。当たり前の人権を得るまでの、長い道のりを認識した上での選択であってほしい。政党の側も歴史に学び身を律するのは当然だ

▼「人権」を「平和」に置き換えれば今の日本に通ずる。満員電車はしんどいが行き先が正しければよい。「いつか来た道」を後戻りしたくない。

【神奈川新聞】


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