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【社説】外国人労働者活用 「穴埋め」の発想捨てよ

経済 神奈川新聞  2014年04月27日 10:00

安倍政権が外国人労働者の活用に向けて動きだした。建設現場の人手不足の解消と女性の就労を促すのが狙いだという。

だが、現状での受け入れ拡充は問題解決を遠のかせる恐れがあることを指摘しておかねばならない。

確かに、建設業界の人材難は深刻だ。安倍政権によって公共事業が増え、東日本大震災の復興事業も本格化している。2020年の東京五輪に向けた特需も見込まれる。

政府は、途上国への技術移転を目的とする外国人技能実習制度の在留資格を延長するなどして人材確保を図っていくという。五輪までの緊急対策という位置づけだ。

しかし、まず目を向けるべきは人材不足に陥った背景ではないか。

過去20年で公共事業の削減が続いた結果、企業はリストラを余儀なくされてきた。一方で若い人の就業は進まなかった。きつい仕事の割に賃金が安く、社会保険に未加入の下請け企業も少なくない。若者に敬遠されているのは安心して働き続ける環境にないからだ。

政府はまた、家事支援や介護などの分野で外国人の受け入れを進め、育児や介護に追われている女性の就労を後押しするとしている。

女性が思うように働きに出られないのは保育所や介護施設が足りず、休業制度も利用しづらいという、やはり構造的な問題による。介護現場の人手不足も建設業界同様に待遇の悪さが一因になっている。

まず手を付けるべきは労働環境の改善であろう。外国人労働者にとっても必要なものであることは言うまでもない。

外国人技能研修制度をめぐっては最低賃金以下の手当や受け入れ企業の未払い、過重労働、パワハラなどの人権侵害も報告されている。外国人の劣悪な労働環境が拡大すれば、やがて日本人労働者への賃金低下の圧力などの悪循環を招くことにもつながる。

問題を放置したまま、外国人を穴埋めに使うかのような発想が映し出すまなざしがある。貧しい国の人たちなら安い賃金でも喜んで働きに来るだろうという、とりわけ近隣アジアの人々への蔑視である。

人口が減りゆく中、経済成長維持のため移民の受け入れも将来の選択肢として取り沙汰される。しかし、都合のいい労働力としてみなしている限り、展望は開けまい。

【神奈川新聞】


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