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戦禍逃れた40万冊、図書疎開の秘話を記録映画に 鎌倉で上映

カルチャー 神奈川新聞  2014年04月24日 11:50

当時の日比谷図書館。1945年5月25日の大空襲で焼失した(主催者提供)
当時の日比谷図書館。1945年5月25日の大空襲で焼失した(主催者提供)

第2次世界大戦下、戦禍を逃れるために“疎開”した40万冊もの書物があった。携わった学生や受け入れ先の村人らの証言を紡いだドキュメンタリー映画「疎開した40万冊の図書」(2013年)の県内初の上映会が26日、鎌倉市内で開かれる。戦争とは、文化を守るとは-。金髙謙二監督(58)=東京都杉並区=が3年かけて拾い集めた知られざる証言は、現代にも通じる普遍的な問いを投げ掛けている。

舞台は、日比谷図書館(東京都千代田区)。戦局の悪化で、国が全国の貴重図書の疎開指示を出した翌年の1944年から、中田邦造館長を中心に、蔵書26万冊に加え、民間が所蔵する貴重書計40万冊の疎開に乗り出した。

食糧の確保もままならない中、学徒動員で駆り出された都立一中(現・日比谷高校)の生徒ら約50人は本を詰めた10キロにもなるリュックを背負い、大八車を押して、50キロ離れた奥多摩や埼玉県志木市の農家の土蔵へ何度も運び込んだ。

この時運び出されたのは、伊能忠敬が江戸時代後期に実測した「大日本沿海輿地(よち)全図」や、1853(嘉永6)年の黒船来航を描いた「異国船図 北亜墨利加」など、一級の資料だ。

「割り当てられた分を運ぶ“機械”でした。でもあの戦争の末期のひどいときに運ばなきゃいけないような貴重なもんだという認識は植え付けられました」。作中、当時の生徒はインタビューにそう答えている。

45年5月25日、日比谷図書館は大空襲により全焼。焼失した20万冊超の図書の中には疎開できなかった江戸、明治期の資料も含まれていた。

「書物は、民族が培ってきた英知の集積。魂がこもっている。中田館長らには、それを途絶えさせてはならないという強い信念があった」。金髙監督はそう強調し、さらに加えた。「戦争は文化や尊厳を破壊する。繰り返してはならない」

上映会は、市民グループ「鎌倉・映画を観る会」主催。鎌倉生涯学習センター(同市小町)で(1)午前10時(2)午後2時(3)午後6時-の3回。2回目の上映後には、金髙監督や逗子市在住のプロデューサー森島恒行さんらのトーク会がある。入場料は、大人前売り800円(当日千円)、高校・大学生600円、中学生以下無料。各回定員280人。問い合わせは、同会代表の飯島和夫さん電話0467(25)3305。

【神奈川新聞】


当時の都立一中の生徒ら。このうち複数人が書物の疎開に携わった(主催者提供)
当時の都立一中の生徒ら。このうち複数人が書物の疎開に携わった(主催者提供)

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