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  3. 「神奈川モデル」道半ば 黒岩知事・任期残り1年
残り任期1年の抱負を語る黒岩知事=県庁
残り任期1年の抱負を語る黒岩知事=県庁

黒岩祐治知事の1期目の任期(2015年4月22日まで)が、残り1年を切った。「超高齢社会を乗り切る神奈川モデルをつくる」と、斬新かつ壮大な構想を打ち出してきた知事。選挙公約や就任後に掲げた看板施策の進捗(しんちょく)を点検すると、多くはまだ道半ばだ。3年間の実績を踏まえ、あと1年でどう結実させるか-、手腕が問われる。

■太陽光発電普及

東日本大震災直後、11年4月の知事選で掲げた公約で、唯一の数値目標を示したのが「4年間で太陽光パネル200万戸の設置」だった。福島第1原発事故を受けた「エネルギー革命」を目指したが、就任半年後の同年10月に事実上撤回。新たな導入目標は59万戸と大幅下方修正し、後にさらに引き下げた。

この春、挽回する切り札として打ち出したのが、2年間で10億円を充てる新技術「薄膜太陽電池」の普及促進補助だ。

パネルより3~4倍高価で発電効率が約半分の途上の技術だけに、県議会には助成効果を疑問視する声が少なくない。それでも知事は「薄膜電池は軽いため耐荷重が弱い工場の屋根に導入が進み、臨海部で一気に普及する」と自信をみせる。

■京浜臨海部特区

11年12月に国の指定を受けた「京浜臨海部ライフイノベーション国際戦略総合特区」は、知事いわく「医療の出島」。医療分野の規制緩和の適用を受け、革新的な医薬品、医療機器産業の国際拠点として新産業創出につなげたい考えだ。

今年4月に県庁内に30人規模の推進局を新設した。国外市場への売り込みをにらみ、諸外国の関係機関との連携に向けた積極的な“知事外交”も展開する。研究開発から事業化を促す「ライフイノベーションセンター」は、16年度中に開設する予定。

産業化など成果はまだ先だが、3月末に安倍政権肝いりの国家戦略特区で神奈川を含む東京圏が指定され、大胆な規制緩和が期待できることが最大の追い風だ。

■医学部新設

知事は12年4月、特区を活用して国際的な医療人材を養成する医学部新設を検討する考えを表明。県医師会から反対の声も上がったが、川崎臨海部の殿町地区を軸に検討してきた。

今年3月末の国家戦略特区指定を受け、規制緩和を見込んだ「メディカルスクール」など構想の具体化を急ぐ。ただ「東京圏」には、具体性が高い国際医学部構想をまとめている千葉県成田市もある。「特区でとりあえず1校」という政府高官の発言もあり、政府と首長で具体的内容を詰めていく5月以降の特区会議での駆け引きが、ヤマ場となりそうだ。

■マイカルテ構想

ICT(情報通信技術)を用いて県民一人一人が診療情報などを管理活用し、迅速な治療や診療の効率化に役立てるマイカルテ構想。知事は「神奈川から医療の情報革命を起こす」と訴え、手始めに昨年5月から「お薬手帳」を電子化する実証実験をスタートさせた。

ただスマートフォンなどの登録者数は、今年3月20日時点で493人にとどまり、検証データを得るために統計学上必要とした目標の1500人に遠く及ばない状況。運営主体を引き継ぐはずの民間事業者も昨秋に募集したが、決定に至っていない。

■ロボット特区

13年2月、さがみ縦貫道路沿線が「さがみロボット産業特区」に指定された。県は生活支援ロボットの開発や普及を進め、産業集積と活性化を目指す。

企業や大学など112社が技術を持ち寄る「オープンイノベーション」で3件の研究開発テーマを決定。富士ソフトや日産自動車など計16件の実証実験を行い、リハビリ用介護ロボットのPR施設も整備した。

13年度は県の誘致策「インベスト神奈川」に関連7社を認定し、工場新設など再投資を支援。本格的な集積には一層の規制緩和も期待される。

「後世に残る大仕事に」3特区の推進意欲

黒岩祐治知事は22日の定例会見で、残り1年となった任期について「三つの特区を勝ち取ったことで、県の取り組む方向がはっきりした。後世に残る大きな仕事にするために全力を注ぎたい」と述べ、各特区の推進に意欲を示した。

三つの特区は、京浜臨海部ライフイノベーション国際戦略総合特区とさがみロボット産業特区、国家戦略特区。知事は「私自身が(国に)プレゼンテーションに行って、勝ち取ってきた」と胸を張った。

一方で就任当時について「3・11の後、どうするのかが課題だった。選挙で掲げた『4年間で(太陽光パネル)200万戸分』という数字は想像以上に高過ぎるハードルだった」と振り返り、新技術「薄膜太陽電池」の普及促進に注力する現状を話した。

3年間の県政運営については、「メッセージを大事にしてきたつもり。リーダーにとって大事なのは大きなビジョンを示し、具体的に皆さんに説明し、方向を示していくことだ」と語った。

【神奈川新聞】


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