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減災 「盛り土」宅地手つかず 横浜、川崎、横須賀 8千超、危機箇所不明

社会 神奈川新聞  2014年04月21日 13:24

高度成長期を中心に、都市近郊の傾斜地や谷などに盛り土して造られた大規模宅地の地震への備えが遅れている。東日本大震災では東北や北関東の5県計約200地区で崩落や地滑りが起き、その約7割が基準強化前の1970年代以前に造成されていた。国は全国の自治体に危険な盛り土宅地を把握し崩落防止策を急ぐよう求めているが、既存の住宅地で居住者の費用負担を伴う対策を進めるのは難しく、実績はない。神奈川では横浜、川崎、横須賀の3市が先行して調査を行ったものの、危険箇所の絞り込みには至っていない。

国土交通省によると、震災時の揺れによって宮城169、福島16、茨城6、岩手、栃木各3の計197地区で盛り土宅地の大規模な崩落被害が発生。造成年代別で最も多かったのは60年代の81地区で、これを含め70年代以前が136地区と全体の69%を占めた。

一方で、宅地造成等規制法の改正で盛り土する際の締め固めなどの基準が定められた2006年以降の造成地に被害はなく、対策が必要なのは締め固めの度合いが緩かった高度成長期前後という実態が浮かび上がった。

これを踏まえ国交省は今年3月、法改正以降に求めていた(1)「谷埋め型」や「腹付け型」といった盛り土の大規模宅地の地形図による把握と分布状況図の公開(1次調査)(2)現地調査を踏まえた危険な造成地の特定(2次調査)-を急ぎ、崩落対策につなげるよう自治体に要請した。

鳥取や埼玉など一部を除いて取り組みが遅れているためで、1月時点の集計では、全国1742市区町村のうち1次調査を終えたのは3割弱の495市町村にとどまり、2次調査が完了したのは福島、愛知、鳥取の6市町のみ。地盤にくいを打ち込んだり、地下水を排除したりといった崩落防止策につながったケースは1件もない。

ベッドタウンとして人口増が続いてきた神奈川は、盛り土の大規模宅地がその受け皿になってきた。1次調査を終えた横浜、川崎、横須賀の3市だけで計8367カ所と東京都全体(約1500カ所)の5倍超も存在するが、危険箇所はつかめていない。

1次調査で3558カ所を確認した横浜市は市心部に造成年代の古い小規模な宅地が多く、高度成長期以降は港北ニュータウンなど北部に大規模な造成地が広がる。2次調査は15年度以降の見通しだが、「危険な宅地が見つかった場合は慎重な対応が必要。対策を行う場合に居住者の合意をどこまで得ればいいのかなど課題は多い」(市宅地審査課)とする。

川崎市は2487カ所の分布図を07年に公表したが、「今後、2次調査を進めても、その分布図の公開は考えていない」と説明。2322カ所の横須賀市は「基準強化前の造成でも一定の強度があるため、今のところ崩落防止策が必要とは考えていない。居住者は擁壁の状況などを日ごろから点検し、不安があれば相談してほしい」としている。

3市以外は地形的に平たんなところが多く、開発の状況などからも盛り土の大規模宅地は比較的少ないとみられる。このため「現段階で調査の予定はない。まずは住まいの耐震化を急ぐ」と大和市。また、逗子や海老名など人口規模の小さい7市と14町村は県が調査を担当しているが、鎌倉、藤沢、秦野市は調査主体が決まっていない。

国交省は本年度から、対策工事に対する交付金の割合を引き上げ、自治体による調査の進捗(しんちょく)状況を3カ月ごとに公表して対応を促す方針だが、取り組みが進むかは不透明だ。

【神奈川新聞】


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