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「緑地の生態系守れ」 川崎・麻生マンション計画、市民らが事業者に中止要求

社会 神奈川新聞  2014年04月21日 03:00

開発予定地に立てられたマンション建設計画の概要を読む見学会参加者=13日、川崎市麻生区
開発予定地に立てられたマンション建設計画の概要を読む見学会参加者=13日、川崎市麻生区

川崎市麻生区で5年ほど前から浮上していたマンション建設計画が、動き始めた。開発予定地は、市が「優先的に保全すべき」と位置付けた緑地。生態系への影響を懸念する市民からは計画中止を求める声が上がっているが、事業者側は3月、環境影響評価(アセスメント)の手続きに着手した。市は土地の取得交渉を続けているものの、現行の法制度で開発を規制する手段は見当たらないのが実情だ。

開発予定地は、小田急線柿生駅から800メートルほど離れた8740平方メートルの緑地。横浜市内の開発業者が鉄筋コンクリート造で延べ面積1万8700平方メートルの地上5階、地下2階建てマンション(137戸)の建設を計画している。

緑地は市立柿生中学校(同区上麻生)に隣接する山から南に延びる約3・6ヘクタールの斜面の一部で、市内でも有数の自然が残るエリアだ。市は保全する緑地の優先度を3段階で評価する制度で最上位のAランクに位置付けており、「優先的に保全すべき」としている。

ただ、都市緑地法に基づく特別緑地保全地区には指定されていないため、マンション建設など開発行為に際し市長の許可は不要。アセスなどの手続きをクリアすれば開発できる仕組みになっている。

建設計画をめぐり、地域の住民らは「多摩丘陵の豊かな緑地が失われる」として2011年5月、市に予定地を含む1万平方メートルの取得を求める陳情を市議会に提出。同年11月に全会一致で採択された。

市は「希少種が生育する可能性もあり、保全していきたい」(緑政部)と、これまで15回にわたり地権者らと買い取り交渉を重ねてきた。だが金額面で折り合わないまま事業者側は今年2月上旬、市に開発を通告。3月にアセス準備書を提出した。

準備書によると、緑地に接する部分には緑を残し、屋上や壁面は緑化。既存の樹種に配慮して植栽も行い、緑地の保全を図る。事業者側は「住民からの反対意見は承っている。緑地保全については準備書にある通り」としている。

◆市民団体「後世に残すべき」

行政「お願いするしか」

「周辺には絶滅危惧種の植物キンランも自生している。事業者側は生態系の回復措置を講じるというが、今ある緑に取って代わることはできない」

マンション計画に反対する市民団体は13日、開発予定地を含む斜面の見学会を開催。集まった市民ら約60人が静かな雑木林の中を歩き、植生の多様性を見て回った。

主催団体の一つ「麻生の緑を守る会」の勝田佳代子代表は、「予定地はシラカシやクヌギ、コナラなどが混在する植生豊かな優れた緑地」と強調する。

「まちづくり・環境運動川崎市民連絡会」の小磯盟四郎事務局長は、開発予定地に特別緑地保全地区を含む緑地が隣接していることを指摘。「これほど広範囲に密集しているのは市内有数であり貴重。後世に残すべきだ」と訴え、アセス準備書に対する意見書提出を呼び掛けた。

市街化区域に含まれ、緑地保全に関する法規制の対象地域外で、開発を制限する手だてはあるのか-。市緑政部は「私たちは地権者に協力をお願いすることしかできない。街づくりと折り合いをつけながらやっていく」とし、引き続き土地取得交渉を続ける意向を示している。

【神奈川新聞】



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