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【社説】ついのすみか 特養と在宅介護の両輪で

社会 神奈川新聞  2014年04月02日 11:51

「ついのすみか」を求めて漂流するお年寄りが増えている。安らかな死をどこで、どのように迎えるか。長寿大国となった日本にとって重大な課題となった。

介護を必要とする高齢者が入居できる、特別養護老人ホーム(特養)を希望する「待機者」が全国で約52万2千人に上っている。厚生労働省が集計結果を公表した。

2009年12月の調査より10万人ほど増えた。特養の不足を明らかにした数値と言える。

家族関係や経済的事情から在宅介護が難しい家庭もあるだろう。また身寄りのない人や、「老老介護」で困窮する夫婦も少なくない。とりわけ低所得者にとって、有料老人ホームより安く、食事や入浴といったケアが受けられる特養は安住の場ともなり得る。

高齢化が進めば、待機者はさらに増加するだろう。施設を拡充するとともに、在宅での介護をしやすくする制度づくりも不可欠である。政府は在宅介護への移行を促そうとしているが、「現状では難しい」と訴える世帯が多い。時代に合わせた制度設計がなければ、掛け声倒れに終わりかねない。

神奈川を含む首都圏は、地価も高く、施設の用地確保さえ難しい。地方への特養整備を模索している自治体もあるというが、あまりにも性急な施策には、生活環境が十分整わない、社会と「隔離」されたような状況をもたらす懸念もある。

今回の集計では、待機者のうち排せつなどで介助を必要とする、要介護3~5の中重度者は3分の2を占めた。一方、要介護1~2など軽度でありながら入所を希望する人は約17万8千人。政府は、15年度から特養に入所できる人を原則として要介護3以上に限定する方針だが、法が成立すれば、こうした人たちの多くが入所できなくなる。

資格者を限定すれば待機者は一時的に減るかもしれない。だが、あくまで表面上で、高齢者の生活をいかに保障するかという問題の解決にはつながらない。

住み慣れた街で家族と最期を迎えたいという人は多い。ところが、そうした要望を支える24時間訪問介護などの制度が十分機能していない。介護職に就く人らも重労働に見合う収入が確保されていないのが現状である。特養と在宅介護を両輪に、多角的な対策が急務といえる。

【神奈川新聞】


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