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第一線で私らしく、子育てと競技両立スキーオリエンテーリング・高橋美和選手

スポーツ 神奈川新聞  2014年03月18日 12:00

2011スキーオリエンテーリング北海道選手権大会で力走する高橋美和=北海道
2011スキーオリエンテーリング北海道選手権大会で力走する高橋美和=北海道

出産を経験した女性アスリートの奮闘が話題を呼んだソチ五輪。県内にも子育てと競技を両立させている女性がいる。スキーオリエンテーリングで世界選手権に4度出場した日本代表の39歳、高橋美和。昨年2月に2人目となる次女を出産したスキーヤーは、16日まで北海道で開かれた第3回全日本大会でミドルディスタンスレース2位、ロングディスタンスレース3位に入るなど、第一線で活躍中だ。

地図を読み、十数カ所のチェックポイントを通過してゴールを目指す。スキーオリエンテーリングは、クロスカントリースキーを履いて行うオリエンテーリングと考えると分かりやすい。

北欧で盛んな、このスポーツに出合ったのは社会人になって2年目の24歳のとき。「大学も卒業したし、何か新しいことを始めたいな」。最初は軽い気持ちだった。

川崎育ちの根っからのスポーツ好き。中学のころはソフトボールを追い、高校ではバスケットボール部のマネジャーを務めていた。大学時代は通常のオリエンテーリングの選手として活躍。日本学生選手権で団体8位などの実績があった高橋は、その魅力に自然と取りつかれた。

スキーは毎年旅行でたしなむ程度で、クロスカントリーは初めて。「転びまくってスピード感は全くなかったけど、走る(オリエンテーリング)よりも自由で、森の中へ入っていけるのが楽しくて」

目の前に広がるのは白銀の山々。そして道なき道を進むスリルと爽快感。「ジェットコースター」のような世界だったという。

■ 結婚と出産 ■

毎年12月から3月までの週末は、長野や山形などクロスカントリーのあるスキー場へ。好きが高じて競技歴7年目の2005年には世界選手権代表まで上り詰めた。

2度目の世界選手権に出場した翌年の08年に、大学時代のオリエンテーリング仲間だった夫と結婚。3大会連続の世界選手権翌年の10年5月には第1子となる長女美帆ちゃんを出産した。

その半年後、授乳しながら練習に復帰したが、落ちた体力にがく然としたという。一風変わったトレーニングを始めたのは、そのときだ。生後間もない長女を背負い、レースで使った地図を首から下げ、自宅周辺を競技会場に見立てた。

両手にはストック。毎日1時間以上も歩き回った。「雪がないのにスキーやってるよ。変なの」。近所の小学生からはやし立てられてもお構いなし。「もうおばさんなので」と笑い飛ばした。

■ 「当たり前」 ■

「競技をすることが当たり前なので」。結婚や出産を経て夢や好きなことを断念する女性が多いなか、高橋は第一線にいることを特別なこととは感じていない。

「仕事でも何でも、できない理由を言い出したら切りがない。言い訳は好きじゃない」。家族に申し訳ない気持ちも確かにあるが、「それよりも頑張ってる姿を見せたい」と言う。

周囲のサポートへの感謝は尽きない。夫は言葉に出さないが、自然と背中を押してくれる。勤めている都内の設計施工会社「ギャルド ユウ・エス・ピイ」は、直談判したら世界選手権の日本代表ユニホームのスポンサーを買って出てくれた。

3歳の長女は、高橋をトップアスリートだとは理解していないという。冬場のシーズンの週末は、練習のため、家を離れることも多いが、それでも3回に1度は、夫とともに大会や練習を見守ってくれる。頑張るママの背中を見ているまな娘は最近、「美帆もやりたーい」と言ってくれる。

「たいそうなことは思ってないけど、夢や好きなことを追う素晴らしさ、楽しさ。それを感じてくれたらうれしい。そして多くの人にスキーオリエンテーリングを知ってほしい」。いつまでも私らしく-。そうありたいと思う。

高橋 美和(たかはし・みわ)南生田中-多摩高-信州大。社会人2年目の24歳でスキーオリエンテーリングを始め、競技歴約6年で日本代表入り。2005、07、09、11年の世界選手権4大会連続代表。3歳と1歳の娘を出産、現役復帰している2児の母。アークコミュニケーションズ所属。160センチ、53キロ。39歳。川崎市多摩区出身、在住。

◆スキーオリエンテーリング クロスカントリースキーでオリエンテーリングを行うスポーツ。スプリント(女子の場合、約3キロでフィニッシュタイムは12分)、ミドル(約9キロ、40分)、ロング(約15キロ、65分)種目があり、決められた十数カ所のチェックポイントを通過し、ゴールを目指す。北欧で盛んで1975年から2年に1度、27カ国が参加して世界選手権を開催。2019年ユニバーシアード大会の正式種目入りが決定している。日本では年間で4~5回の国内大会が開催されており、競技人口は千人程度。

【神奈川新聞】


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