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【社説】健康医療戦略、質向上と効率化両立を

社会 神奈川新聞  2014年03月16日 00:00

政府は、がん、生活習慣病、認知症など高齢化によって増加が見込まれる病気の克服や健康長寿社会の形成を掲げ、健康・医療戦略推進法案と独立行政法人日本医療研究開発機構法案を今国会に提出した。

人口構成の変化を背景に医療・介護への需要増は時代の流れである。高度な医療技術、研究開発力をてこに、医療の質向上と効率化・低コスト化とを同時に実現させてほしい。

日本の医療は、国民福祉の観点から国民皆保険制度を基盤に発展してきた。健康医療分野のイノベーション(技術革新)、産業化促進に当たっては、「いつでも、どこでも、誰にでも」質の高い医療、サービスを均質に提供することが基本といえよう。公平性を前提とした医療システムの維持が命題である。

日本が得意とするエレクトロニクス分野では、戦後、高品質・低価格を達成した「メード・イン・ジャパン」の製品が市場をけん引し、生活の質向上に貢献してきた。このモデルは健康医療分野にも当てはまろう。また、国民医療費が増加の一途をたどる中、公平性とともに経済性の視点も持ち合わせることで、制度の適正化につながるであろう。

政府の戦略の特徴は、高齢化によってニーズが高まる研究開発分野の早期実用化を打ち出した点である。根本的な治療法のない認知症の根治薬開発をはじめ研究開発の出口となる達成目標を明示する方針だ。

基礎から臨床へ切れ目ない支援、予算付けを行うため、政府の健康・医療戦略推進本部と新たな独立行政法人日本医療研究開発機構が両輪として司令塔機能を担う。

新規分野の実用化へ向けては、新薬や新たな治療法の安全性、有効性の確保が一層要請される。特に再生医療、ナノ医療などの日本が研究をリードする先端分野では、評価の基準作りが早期実現の鍵となる。大学や研究機関、企業と安全性、有効性を評価する機関の連携が、これまで以上に求められよう。

推進法案では、難病の克服や感染症の制御も盛り込んでいる。公的な医療が担うべき分野であり、取り組みの強化は評価できる。

戦略のゴールは健康寿命の延伸であり、今後、治療とともに予防の観点がより重要になる。病気をあらかじめ防ぐ医療システムの確立は、国内ばかりでなくアジアへの貢献にもなるだろう。

【神奈川新聞】


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