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【社説】中2いじめ自殺、生徒の死 無駄にしない

社会 神奈川新聞  2014年03月15日 11:23

あらためて男子生徒の冥福を祈りたい。そして、その死を決して無駄にしない、と誓いたい。

昨年4月、湯河原町立湯河原中学校2年の男子生徒=当時(13)=が自ら命を絶った。町教育委員会が設置した第三者委員会は今月、「自殺はいじめの結果と推認できる」とする調査報告書を公開した。教員間の連携やいじめ対策の継続、町教委の人的体制拡充など多岐にわたり提言している。学校と町教委は真摯(しんし)に反省し、一人一人が提言を心に刻み込まなければならない。

「一つ一つはさほどでもなくても、ほぼ毎日繰り返された場合、心身に与えた苦痛は相当なもの」といういじめは、男子生徒が入学直後から1年にわたって続けられた。自殺直後のアンケートでは、実に2割の生徒がいじめの実態を指摘した。にもかかわらず見過ごされてしまった。

なぜなのか。報告書は背景として、いじめとは何かという共通認識が現場になく、いじめがどのような現場で起こり得るかという視点も極めて不十分だった、と指摘する。

いじめに気付くチャンスは、複数あった。だが、そうした背景から、いじめを「悪ふざけ」「じゃれ合い」と判断し、生徒の「大丈夫」との返事をうのみにした。自殺前日に男子生徒が提出した「たまには悩みをきいて下さい」というメモからも、違和感を受け取れなかった。「学校全体がいじめや嫌がらせにまひしていた」との報告書の指摘は重い。

教員らは聞き取り調査に「しっかりと寄り添う時間がない」「忙しい」と口をそろえたという。そうした認識でいる限り、再発防止の道筋は見えない。「誰も僕の心をわかってくれない」という男子生徒の最後の言葉を忘れてはならない。

報告書に通底しているのは、「子どもを守るのは大人の役割」という視点だ。子どもからの訴えに対応するだけの「待ちの姿勢」を戒め、二度と起こさないという強い覚悟を求めている。さらに、今回の問題は特殊ではなく、いつでも起き得るという認識を「湯河原町のすべての大人が忘れてはならない」とも強調する。その指摘は神奈川、そして全国の大人にも当てはまる。

教訓を胸に刻み、同じことが繰り返されぬよう子どもに寄り添い続けることは、われわれすべての大人の責務であると同時に、男子生徒に報いる唯一の方法だろう。

【神奈川新聞】


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