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【社説】大震災を越えて、復興から発展へ進もう

社会 神奈川新聞  2014年03月12日 00:00

東日本大震災から3年を報じる新聞各紙に、はるかかなたの宇宙から一筋の光が差した。若田光一さんの国際宇宙ステーション船長就任である。日本人として初めてという。

人間は宇宙で長期間生活し、秩序やコミュニティーを構築することを可能にした。若田さんは大気圏外から被災地の明かりを確認して「強く励まされたように感じる」と感想を述べている。宇宙から届く日本語によるメッセージは、多くの被災者を勇気づけた。

紙面では若田さんの記事と並び、家族や友人の死にくじけず生活再建に懸命な人々の姿も紹介された。失われたものは計り知れず、心身の傷も決して軽くはないだろう。だが、どんな災害も困難も人間の勇気を奪い去ることはできない。

科学の力を地震予知や防災に結集したい。知識や資源を総動員すれば原子力災害への対応も、もっとしっかりできるはずだ。大震災から4年目に入った今、課題をあらためて洗い出し、解決へ向けてのしっかりとした行程表を組みたい。

地震予知は困難という見方は大震災以降、強まってはいる。観測を担う気象庁も、防災の責任官庁である内閣府も、予知に対しての主体的な取り組みはうかがえない。当然、政府の予算措置も十分ではない。

財源を防災へとシフトしていくという選択もあるが、予知研究の道を閉ざす段階ではないだろう。実際、南海トラフの東端(静岡・駿河湾周辺)で発生する地震について、国は予知は可能との見解だ。今こそ研究のあり方を真剣に議論したい。

東京電力福島第1原子力発電所をめぐる事故の収束に向けても、衆知を集めなければならない。とりわけ汚染水を増やし続ける水冷方式による対応は、もはや限界だ。

汚染水が海へと漏れ出すような事態を放置し続けることは、復興への支援を続けてくれた国々への裏切りであろう。空冷などあらゆる新しい可能性を模索しなければならない。

津波被害を防ぐための施設や、震災に強い町づくりは他国のインフラ整備にも貢献していく。無駄な研究など一つとしてない。

東北の復興と発展を実現し、日本の科学の底力を見せよう。その成果を世界に還元し、支援してくれた国々へ恩返しをしたい。それこそが犠牲となった多くの人たちへの供養にもなるはずだ。

【神奈川新聞】


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