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【社説】浜岡原発再稼働、地元の同意得られるか

社会 神奈川新聞  2014年02月28日 00:00

中部電力が浜岡原発(静岡県御前崎市)4号機の再稼働に向けた安全審査を原子力規制委員会に申請した。東日本大震災で被災した東京電力福島第1原発の事故から間もなく3年を迎える中で、運転を停止していた各地の原発で再稼働の動きが本格化している。

浜岡原発は、当時の菅直人首相が54基あった国内原発の内で唯一、要請を行い、2011年5月に全面停止した特別な存在だ。東海地震の想定震源域にあり、立地条件は1976年の1号機の運転開始当初から問題視されていた。福島同様の事故が起きれば、東海道新幹線や東名高速道路も被災、列島分断の危機的状況に陥る恐れがあった。

中部電は、厳格化された新規制基準に従って原子炉建屋の耐震強度を引き上げ、高さ約22メートルの防潮堤や、重大事故時に放射性物質の放出量を抑えるフィルター付きベント設備などの安全対策を15年9月までに完成させる計画だ。

確かにハード面の対策は向上するが、これで事故が起きる危険性がなくなったとは言えまい。福島第1原発の教訓は「想定外」を作らないことだった。福島の事故対応を振り返ると、政府を含めた危機管理能力など、ソフト面の課題解決はより難しく思える。

安全審査を通過しても、再稼働には地元同意が求められる。原発から半径30キロ圏内の自治体を対象に避難計画の策定も必要になる。住民の安全確保を最優先する、静岡県の川勝平太知事ら各首長が難色を示しているのは当然だろう。

対策を義務付けている30キロ圏の設定については、専門家の間に異論がある。避難に際して重要なのは距離ではなく「風向き」と指摘している。福島第1原発から漏れた放射性物質の拡散状況からも、同心円状の汚染は見られない。

例えば、県内では福島から約300キロ離れた県西地域で足柄茶の汚染被害が発生した。浜岡原発は県境から約100キロに立地している。西寄りの風は年間を通じて最も多く吹いており、30キロ圏にとらわれず、県内への影響も考慮するべきだ。

浜岡原発周辺の人口は福島とは桁違いに多い。南海トラフの巨大地震の切迫性も高まっている。リスクの大きさは一企業の責任範囲を超えるだろう。廃炉に向けた政治決断が再び求められるのではないか。

【神奈川新聞】


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